和食の割り最終回 保温と蒸発の科学
発端はうどんつゆの量 そもそもは、前回のコラム記事「関西風うどんと割りの科学」で、うどんつゆをReproの外部センサーをセットしたまま、鍋のふたをずらしてかけて90℃で保温していたら、2人分(=600ml強)あったうどんつゆが、30分後には111mlも減ってしまったという経験から。 ふたをきっちり…
発端はうどんつゆの量 そもそもは、前回のコラム記事「関西風うどんと割りの科学」で、うどんつゆをReproの外部センサーをセットしたまま、鍋のふたをずらしてかけて90℃で保温していたら、2人分(=600ml強)あったうどんつゆが、30分後には111mlも減ってしまったという経験から。 ふたをきっちり…
アスパラガスにまつわるエトセトラ 最近は1年中スーパーに出回っているグリーンアスパラガスに対し、缶詰じゃない生のホワイトアスパラガスを見るのは主に5〜6月だけ。そもそも昔は、ホワイトアスパラガスと言えば缶詰が定番。グリーンアスパラガスに至っては見たことない、って感じでした。それもそのはず、ホワイト…
豆ごはんの旬だから やっぱり春になると「豆ごはん」が食べたくなります。豆ごはんと言っても、今回のレシピは「えんどう豆」を使ったもの。他にも枝豆ごはんやそら豆ごはん、秋になると黒豆を使った黒豆ごはんを食べる地方もあり、本当はとてもバリエーションの多い料理です。 グリーンピースも絹さやもえんどう豆 さ…
大名筍(たけのこ)を知っていますか? 写真のような細いたけのこで、主に鹿児島県三島村の竹島・硫黄島・黒島で採れるものを大名筍(たけのこ)と称しています。「それってどこ?」と聞かれれば、あの縄文杉で有名な世界自然遺産の島「屋久島」の近く(直線距離で約20キロ)です。 この三島村、その名の通り竹島・硫黄…
ひと足早く夏を感じたくてヴィシソワーズを 最近、急に暖かくなったこともあり、ひと足早く夏を感じたく、冷製スープを作ろうと。冷製スープと言えば「ヴィシソワーズだよなあ」と思ってはみたものの、長らく作る機会がなかったので作り方を忘れてしまい、ネットでレシピを検索し、大手レシピサイトのレシピを適当に選ん…
好きな映画は「シェフ」と「タンポポ」 食がテーマの映画で一番好きものを挙げるとすれば、ジョン・ファヴロー監督の「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」と故伊丹十三監督の「タンポポ」です。どちらも前向きで明るい気持ちになれることと、制作者の食に対する限りない愛と熱量が伝わってくるから。くじけそうな…
タモリさんも絶賛の登龍 麻布店 皆さんは麻布十番にある中華料理店「登龍」をご存知だろうか?食通で知られるあのタモリさんも絶賛する焼餃子で有名な、そして多くのセレブが行きつけにしている高級中華料理店である。 こちらがタモリさん絶賛の焼餃子。プリプリの食感の皮にあんがぎっしり詰まっており、あんの中に細…
らっきょうの旬は春です いわゆる「らっきょう(甘酢漬け)」って1年中売っているので、なかなか季節感を感じづらいですが、本来らっきょうの旬は春です。普通のらっきょうの旬が4〜6月、島らっきょうは3〜5月ぐらいでしょうか。普段あまり首都圏では見かけない島らっきょう、沖縄 特に伊江島が最大の産地ですが、…
たけのこが旬だから この時期 旬なのは何と言っても「たけのこ」。スーパーの店頭にも並んでいます。こんな時期こそビニールパックされた「たけのこの水煮」じゃなくて、採れたてのたけのこをいただきたいもの。そんなことでたけのこを買ってきたら、ナイスタイミングで料理家の樋口直哉さんがnoteに「たけのこのア…
今回の実験の目的 前回のコラム記事では、調理スタート時に決めた「割り」が加熱調理後の仕上がりでどんな塩分濃度に煮詰まっているかを検証しました。そして、その最後でラーメンのスープや、そば・うどんつゆなど、仕上がりの塩分濃度への配慮だけでなく、ある一定の「分量」も確保しなければいけない料理はどうすれば…
これまでを振り返って 前回「200:1:1:0.5究極の割り 吸い物(お椀)」と前々回「味付けが決まる!和食の割りとは(基本編)」で、分かったことは、和食の「割り」は簡単に味が決まる便利な方法であるとともに、以下の課題も浮き彫りになりました。 (1)「割り」はあくまでもスタート時点での味付けで、仕…
前回のコラム記事「味付けが決まる!和食の『割り』とは(基本編)」で、最後にあげた「お椀(=吸い地)」を細かく分析してみましょう。なぜならこれがいわゆる「割り」、つまりは容量比でレシピを規定できる現実的な限界?なので。ちなみにまだお読みでない方は、まず前回のコラムをお読みください。 吸い地の「割り」…
プロの和食屋さんだってすべてを味覚だけで決めているわけではありません 和食の職人さんと言うと、みんな「舌当たり」、つまりは自分の味覚だけで味付けを決めているイメージがありますが、必ずしもそんなことはないようです。最後は親方が味見して決めるにしても、その手前で、ある程度の範囲内には収まっていないと作…