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タモリさんも絶賛の登龍 麻布店

皆さんは麻布十番にある中華料理店「登龍」をご存知だろうか?
食通で知られるあのタモリさんも絶賛する焼餃子で有名な、そして多くのセレブが行きつけにしている高級中華料理店である。

こちらがタモリさん絶賛の焼餃子。プリプリの食感の皮にあんがぎっしり詰まっており、あんの中に細かくカットした春雨が入っているのが、さらにプリプリの食感を増幅させている。
はっきり言って文句なく美味しい。そしてお値段の方も最高水準だ。
この焼餃子は2500円。1個500円の餃子である。
個人的には町中華に分類している
そのお値段と言い、誰が見ても「高級中華料理店」というジャンルのお店だが、私は個人的に港区に残る数少ない「町中華」の一店と分類している。その理由は…

随分昔に入手したこの昭和感あふれる出前用献立表。そう、登龍は最高級中華料理店ながら気軽に出前をお願いできる希少なお店なのだ。

裏面を見ると、これまた昭和レトロな、不必要なまでに親切な地下鉄の路線図が印刷されたアクセスマップ。
この出前用献立表がある時点で「昭和な町中華」と認定せざるを得ない。いや「町中華の特異点」と評する方が正しいか…
良いお値段がすることは分かりつつも、コロナで外食を控えていた頃は、デリバリーのピザやUberに飽きて、たまに出前をお願いしていた。
久しぶりに出前を注文したら…
コロナの脅威が去るに連れ、登龍さんの出前とも疎遠になっていたが、最近、急に登龍さんの料理が恋しくなって、久しぶりに出前をお願いした。

焼餃子とモンゴウイカとセロリの塩炒め、白菜のクリーム煮とチャーハンの4品、手元にあった出前献立表でザッと計算すると、ギリギリ1万円以内に収まるはず。
しかし、実際にお会計すると、なんと1万2000円超え…
おおっ、ジーザス!
K点を遥かに超える出前界の最長不倒距離記録の樹立!
物価高の影響か、いつの間にか値上げされていたんだ…
モンゴウイカとセロリの塩炒めを再現してみたい

登龍さんと言うと焼餃子とともに有名なのは担々麺だが、個人的にはモンゴウイカとセロリの塩炒めがことのほか好きで、お店に行っても出前でも必ず注文してしまう。この一品も2900円→3600円にアップ。
いっそ自分で作ってみようか?と思い立ち、さっそく試作に。登龍さんのモンゴウイカとセロリの塩炒めにはたけのこも入っているが、あいにく冷蔵庫にたけのこの持ち合わせがなかったこともあり、登龍さんのとはちょっと違った自分好みの味にモディファイを。
なので「登龍さんの再現レシピ」ではなくなってしまったので、あしからず。
モンゴウイカとセロリの塩炒めの作り方
材料と分量
- 冷凍モンゴウイカ 150g
- セロリ 2本
- しょうが(すりおろし) 1/2片(3〜5g)
- 赤唐辛子(小口切り) 1/2〜1/3本
- サラダ油(もしくは太白ごま油) 大さじ2(30ml)
【合わせ調味料】
- 水 100ml
- 鶏ガラスープの素 1g
- 紹興酒 大さじ1(15ml)
- 塩 2g
【水溶き片栗粉】
- 片栗粉 8g
- 水 20ml
【トッピング】
- セロリの葉 適量
- ごま油 適量
冷凍モンゴウイカは今どきスーパーで入手が困難

食材を仕入れに行こうとして意外だったのは、肉のハナマサさんや吉池さんのような飲食店の方も買いに来る業務用スーパーでも、今どき「冷凍イカ」は売っていないこと。「冷凍ミックス」として、イカとエビとかイカとアサリ、みたいな商品はあるが「冷凍イカ単体」というのは見当たらない。お店の方に聞いてみると、
「イカの値段が高いんで単体って言う商品を取り扱っていないんですよ…」と。
結局は、Amazonで見つけた
「冷凍 マツカサイカ 1000g(41/60) 松笠いか 紋甲イカ使用 業務用」
というものを購入。ベトナム産でお値段は1kg3800円。小ぶりなモンゴウイカで、150gと言うと、写真のように5〜6枚ぐらい。
下ごしらえ

中華の炒め物は思いの外せわしなくて、手際よくやらないと思わぬ失敗をすることがあるので、合わせ調味料や水溶き片栗粉は事前に準備しておきましょう。

分量のしょうがも事前にすりおろしておきます。

セロリは斜め薄切りに。このぐらいの薄さなら「筋取り」をしなくても問題なし。

トッピングに使うセロリの葉はざく切りに。ちなみにセロリの葉をトッピングする理由は、
(1)葉がもったいないから
(2)パクチー的な香草の風味があるから
の2点からですが、たまにめちゃくちゃ苦い葉っぱがあるので事前に味見してトッピングに使えるか判断してください。

イカはこのぐらいのサイズであれば2等分にカット。
炒め物スタート

フライパンの表面温度を130℃に加熱し、イカを重ならないようにフライパンに並べて表裏1分づつ炒めます。130℃はガスコンロならけっこうな弱火です。なぜ130℃なのかと言えば、
(1)火が通り過ぎるとイカが硬くなる
(2)この料理はイカの表面に焦げを付ける必要がない(もしくは付けたくない)
(3)強火で炒めると油ハネでコンロの周りが汚れるから
という理由からです。両面1分づつ炒めたら、いったんイカを盛り付ける皿などに避難させます。

イカを退避させて空いたフライパンにすりおろしたしょうがと赤唐辛子を投入して、香りが立つまで炒めます。

香りが立ってきたら、今度はセロリを投入。セロリは表裏3分づつ炒めます。

フライパンのふたをして蒸し焼きにすると火が早く通ります。

セロリに火が通って半透明になったら、表面温度を110℃に下げて、合わせ調味料を投入。
110℃はガス火ではかなりの弱火、というかとろ火です。もしかしたら家庭用のガスコンロではフライパン底からバーナーキャップ(火口)までの距離が短いので、火力の調整が難しいかも…
温度を下げる理由は、単純に合わせ調味料があまりに激しく沸騰してしまうのを避けるためです。

合わせ調味料が沸騰したら、水溶き片栗粉を投入し、シリコンへらなどでかき混ぜてとろみを付けます。水溶き片栗粉がなかなか再沸騰しない時は温度を上げて(ガスコンロなら火力を上げて)調整してください。

とろみが付いたら、お皿に盛り付けてセロリの葉をトッピングして完成です。
登龍さんのモンゴウイカとセロリの塩炒めより、しょうが風味が効いていてちょっと違いますが、これはこれで美味しいと思います。Reproレシピとして公開したのでReproユーザーの方はこちらを公式アプリから本体に送信してお使いください。
麻布十番の町中華
いまや絶滅危惧種となりつつある港区の町中華。特に六本木・麻布・赤坂界隈で昔ながらの町中華群生地と言えば、もはや麻布十番だけでしょうか…

著名人御用達で、登龍さんに並ぶのが「ねぎそば」が美味しい永新さん。
タンメンが美味しい大宝さん。
他にもまさにザ・町中華な新香飯店さんなどなど…
かつては、そのボリュームで若者御用達だったエリートさんが先年 火事で焼失してしまったのは残念でしたが…
何しろ、◯◯ヒルズとか◯◯タウンとかが次から次に出来て、昔ながらの街が消え、ものすごいスピードで変わっていくこの辺りで、麻布十番は老舗町中華が今も残る心のオアシスです。機会があれば町中華を食べに麻布十番にいらっしゃるのも一興かと。
最後に
登龍さん、値上げしてもついていきますので、せめて最新の出前用献立表をください…