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前菜には蒸し鶏を食べたい

「さあ今日は中華でビールを!」と気合が入った日には、それが町中華であれ、高級中華料理店であれ、メニューに「蒸し鶏」があれば、まずは前菜に注文してしまうんですね。それはもう儀式の如く。我ながら鶏肉がよほど好きなんですかね…
それにしても中華料理って、チャーシューというと「叉焼(串で豚肉を刺して焼いた中国の料理)」か「焼豚(豚の塊肉を焼くか表面を焼いて煮る)」という漢字が当てられるわけですが、なぜか日本では、特にラーメン屋さん系では大半が「煮豚」ですよね。
「蒸し鶏」も、本当に蒸しているお店は少なくて、多くの場合、調理方法は低温調理も含め「煮鶏」ですよね。まあ美味しければどちらでも良いんですが。
閑話休題。
で、詰まるところ、好きが昂じて名店のような蒸し鶏を作ってみたいという野望を持つに至ったわけです。
名店と言っても、やっぱりご近所のお店ですが…
ちょっと前に、麻布十番の「登龍」さんにインスパイアされて「イカとセロリの塩炒め」を作ってみましたが、今回もご近所、NHKの「きょうの料理」の講師としてもおなじみの巨匠 脇屋友詞シェフがYouTubeで作り方を紹介していた「蒸し鶏の冷製ねぎソース」の動画を偶然見つけたので、これをReproレシピとして翻訳?してみたいと思います。
現在、脇屋友詞シェフは、赤坂に3店舗、銀座に1店舗を運営しています。
実は脇屋シェフは弊社と同じ町内会、本当にご近所さんです。

弊社に最も近い「Wakiya 一笑美茶楼」でフルコースをいただくのも良いのですが、個人的に好きなのはオフィスから徒歩5分ぐらいのところにある「Turandot臥龍居」です。
日本の朝食文化の貢献者

この「Turandot 臥龍居」がなぜ好きかと言えば、端的に「朝食が食べられた」から。
今でこそ週末の開店時間は午前11時からになりましたが、コロナ前はもっと朝早くからオープンしていました。
昔、ロンドンと香港に少しばかり住んでいたことがあり、ロンドンでは朝仕事に行く途中には必ずサンドイッチを売る店が何軒も開いており、パンと、結構種類のあるフィリングの中から好みのものを選んで、店外のテーブルで楽しむことができました。
香港でも、朝早くから中華粥はもちろん、台湾風、広東風、北京風な朝食を食べられる店が軒を連ねていました。
日本でも、京都・神戸・名古屋など喫茶店のモーニング文化が洗練された土地はあれど、東京で素晴らしい朝食をいただけるお店は、ホテルでもない限り、そうそうありません。

失礼ながら赤坂で朝早くから店を開け、朝食を出しても、そこまでお客さんが来るものではないでしょう。それでもなお、その姿勢を貫くのは、まさに
「朝からきちんとした食事を摂る」
という健康的な食文化を日本に根付かせようとする脇屋シェフの心意気のなせるわざな気がします。そして心意気だけでなく、味もまた美味しい。

こちらは最近いただいた小籠包。お店の方から「今日は運良く点心師がいるので…」と勧められたもので、一見なんの変哲もない一品ですが、大げさではなく、自分が今まで食べた中で最も美味しい小籠包でした。そしてこの世の中に「点心師」という職業があることも初めて知りました。

そしてこちらが、生姜とねぎソースがかかった蒸し鶏。脇屋シェフがYouTubeで紹介しているものとは少し違うレシピかもしれませんが、これもまた美味しい一品でした。
週末のブランチに蒸し鶏と小籠包を前菜にビールを少しばかり。そして締めは中華粥。
いささか豊かな気持ちになれるひとときです。
蒸し鶏の冷製ねぎソースのReproレシピ
そろそろ話を戻しましょう。脇屋シェフのYouTubeをベースに「蒸し鶏の冷製ねぎソース」を作っていきます。動画では余計な道具を必要とせず作れるように、塩をしてねぎとしょうがを添えた鶏もも肉を保存袋に入れ、フライパンの水を一度沸騰させてから火を止め、10分間余熱調理をしています。しかしここはReproのレシピ、正確な温度管理で低温調理していきます。
蒸し鶏の冷製ねぎソースは65℃で1時間加熱
Reproレシピでは鶏もも肉を65℃で1時間低温調理します。60℃で1時間半というバージョンも試したのですが、やや「ハム化」が進みすぎていて、65℃の方が美味しいという結論に。
それではさっそく材料・分量から。ちなみに動画で紹介されているレシピより塩分などをかなり減らしてありますので、その点はご納得を。
材料・分量
【蒸し鶏の材料】
- 鶏もも肉 1枚(250〜300g)
- 塩 小さじ1/3(2g)
- こしょう 少々(0.2g)
- しょうが 小口切り3〜4枚(10g)
- 長ねぎ 5cm(半分にカット)
【ねぎソースの材料】
- 長ねぎ(みじん切り) 大さじ4(30g)
- しょうが(すりおろし)大さじ1(10g)
- 塩 小さじ1/3(2g)
- 砂糖(グラニュー糖) 1g
- 太白ごま油 大さじ3(45g)
【きゅうりの和え物】
- きゅうり 1本
- 塩 1g
- こしょう ほんの少し(0.1g)
- ごま油 小さじ1(5ml)
低温調理の下準備

しょうがは薄切り、長ネギは5cmの長さにして縦半分にカット。

鶏もも肉をボウルに入れ、塩、こしょうの順に揉み込みます。どちらも半量づつ鶏もも肉の両面に均等にすり込みます。元の動画では塩=小さじ1(6g)、砂糖=小さじ1/2(3g)なのを、塩=小さじ1/3(2g)、グラニュー糖=1gに減らしています。

しょうが、ねぎの外側の皮 数枚を入れてさらに揉み込みます。

材料をすべて冷凍用保存袋(ジップロックなど)に入れるか、優しめに真空パックします。
65℃で1時間加熱

水1リットルを入れた鍋で、65℃・1時間加熱します。元レシピでは、フライパンに1リットルの水と保存袋に入れた鶏もも肉を入れて、一度沸騰させたら火を止め、ふたをして10分間寝かせています。

低温調理が終わったら、すぐに氷水に漬けて冷まします。完全に冷めたら冷蔵庫へ。2日間は保存できます。
ねぎソースを作る

長ネギはみじん切り、しょうがはすりおろして耐熱ボウルへ。太白ごま油以外の「ねぎソースの材料」にある調味料を入れて混ぜ合わせます。ここも元レシピでは塩 小さじ1(6g)なのを小さじ1/3(2g)に減らしています。

フライパンに太白ごま油を入れ、170〜180℃に熱します。

熱い太白ごま油を3回ぐらいに分けて材料にかけ回します。

軽くかき混ぜればねぎソースの完成です。完全に冷ましてから使います。粗熱を取って冷蔵庫に入れれば5日間保存できます。
きゅうりの和え物を作る

きゅうりの皮をピーラーなどでざっくり剥き、なり口とヘタを落とします。

包丁の腹やミートハンマーなどで少しづつトントン叩き、縦に4〜5等分に叩き割ります。

さらに4等分にカット。

ボウルに移し、塩を振って軽く揉み込みます。

少しだけこしょうを振り、ごま油小さじ1を入れて軽く混ぜ合わせればきゅうりの和え物の完成です。
蒸し鶏の冷製ねぎソース完成

皿に、きゅうりの和え物を敷き、その上に食べやすいサイズにカットした蒸し鶏を置いて、ねぎソースをかければ完成です。
個人的に「薄味」が好みなので、独断と偏見で元レシピより塩の量を大幅にカットしてしまいましたが、減塩・塩分摂取量を気にされている方にはお勧めです!
次回は…
次回はバブル時代の夜の街六本木を彩った名店「香妃園」の蒸し鶏(白油鶏)にチャレンジしてみたいと思います。今回のWakiyaさんの蒸し鶏と色々な意味で好対照な蒸し鶏にご期待ください!