旬の実山椒を味わい尽くす

山椒の木は万能選手

 初夏は実山椒の旬。だから今回は実山椒について。

 原産地は日本とも朝鮮半島とも言われているミカン科の山椒の木は北海道から屋久島までほぼ日本中に分布しています。
一昔前までは、普通のお宅の庭にも生えていて、夕食どきになるとお母さんが子どもに「葉っぱを一枚取ってきて!」とお手伝いを命じる光景も当たり前でした。それにしても山椒の木は余すところなく生活に役立っています。
桜の咲く頃、1〜2週間しか出回らない「花山椒」はとても高価ですが、春の訪れを感じさせる風物詩です。
そして初夏になれば「実山椒」の季節。山椒の葉である「木の芽」は1年を通して和食屋さんの必需品。さらにその枝や幹はすり鉢の「すりこぎ棒」として利用されています。

ということで、今回は初夏の味覚「実山椒」を味わい尽くしましょう。

実山椒の下ごしらえ

実山椒 180gで1500円(税抜き)

 スーパーで買った実山椒。総重量(枝付き)=180gで1,500円(税抜き)です。う〜んさすが港区。良いお値段ですねえ。庭に生えていればタダなのに…

山椒仕事の最難関「枝取り」

 さて、ここからが山椒仕事の最大の山場「枝取り」です。指でもハサミでも良いのですが小枝から実山椒を外す作業です。私は「指派」ですが…

実山椒の枝取り 3時間かかって、わずか50gしか…


この作業、率直に言って「無限地獄」です。いつの間にか3時間が経過し、取れた実山椒はたった50g。どれだけ丁寧に取るかってのもあるんですが、特に老眼の方にはかなりの「修行」です。
でも50g〜100gぐらいが適量かも。たけのこのアク取りもそうですが、この手の作業は少量をたっぷりの水で煮る方が早く成分が溶け出すので。

実山椒の辛味取りは人それぞれ

 からしの、いわゆる「HOT」になる辛味成分「カプサイシン」、わさびの鼻にツーンと抜ける辛味成分「アリルイソチオシアネート」と異なり、山椒の舌がビリビリする辛味成分は「サンショオール」と、まんまのネーミング。中華料理で言う「麻辣」の「麻」ですね。
実山椒を茹でこぼすのは、つまりはこのサンショオールをどれだけ減らすか?という話で、まんまだとかなりのビリビリ感ですが、たくさん減らせばマイルドになります。でも「マイルドな山椒」って、そもそも山椒の意味があるのか?って話にもなるわけで、まさに主観的な問題です。茹で時間30秒〜1分半という猛者もいますし、何回も茹でこぼしするお店も、本当にそれぞれです。
で、今回は茹で時間6〜7分という常識的な辛味取りを。

ということで、ふつふつと煮立つぐらいのお湯(1.0L)に、枝取りして洗った実山椒を投入。

7分経過すると、鮮やかだった緑色がくすんできます。このあたりも30秒〜1分半という猛者が存在する理由かもしれません。

7分間茹でたらたっぷりの冷水に1時間さらします。この間に10〜20分間隔で水替えをしたら下ごしらえ終了です。

こちらが下ごしらえ完成図。

うちでは通年使えるように、小分けして冷凍してから真空パックし、冷凍庫へ。

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公開したReproレシピはこちらです。

ちりめん山椒

 下ごしらえはできたので、さっそく何か作っていきます。実山椒と言えば定番はやっぱり「ちりめん山椒」でしょう、ということで。手軽にシリコン樹脂加工フライパン(直径24cm)で作っていきます。

ちりめん山椒の材料・分量

  • ちりめんじゃこ⋯70〜80g
  • 実山椒(下ごしらえ済み)⋯大さじ3(24g)
  • 粉山椒⋯適量

【煮汁】

  • 酒⋯100ml
  • 薄口しょうゆ⋯大さじ3/2(22.5ml)
  • みりん⋯大さじ1(15ml)
  • さとう⋯大さじ1/2(4g) ※グラニュー糖の場合は6g

煮汁をひと煮立ち

煮汁の材料をすべて混ぜ合わせてフライパンに入れ、Reproの場合は表面温度=105℃で加熱を開始しひと煮立ちさせます。ガスコンロなら中弱火ぐらいでしょうか。
アルコール分が多いので溶液の沸点は下がっています。80℃台で急速に沸騰してくるので、吹きこぼれに注意してください。
Reproユーザーの場合は✓ボタンを長押しして強制的に保温フェーズに移行させると火力が下がります。

ちりめんじゃこを2分間炊く

ひと煮立ちしたら、まずちりめんじゃこだけを入れて2分間炊きます。この時は火加減をふつふつと煮立つぐらいの弱火に調節してください。

2分経ったら、実山椒を投入し、6〜7分ぐらい炊きます。

煮上がって、ほぼ煮汁が無くなったら火を止めます。

これで器に盛り付ければ完成なのですが、ここで裏ワザをひとつ。

盛り付ける時に軽く粉山椒を振ってかき混ぜます。ちりめん山椒って、実山椒に当たれば山椒の風味が口に広がりますが、当たらないと、ただの「しょうゆ味のじゃこ」ですよね?
なので全体的に山椒の風味がかすかに感じられるようにしてあげるのが良いかと思います。
ところで、この粉山椒ですが「やまつ辻田さんの石臼挽き朝倉粉山椒」という商品。スタッフに教わったのですが、この粉山椒は風味が鮮烈でお勧めです。

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公開したReproレシピはこちらです。

実山椒のすき焼き

 以前に料理研究家の大原千鶴さんが紹介していたレシピですが、実山椒の風味と具材としてトマトを使っているのが「夏のすき焼き」として爽やかで素敵です。
もう記憶がうろ覚えですが、元のレシピではトマトを湯剥きしているし万願寺とうがらしを使っていたかと。
でもトマトは、湯剥きしなくてもすぐにトロトロになるので皮はそのまま。
万願寺とうがらしはたまに「当たり」があり、とても辛いので「伏見とうがらし(甘長)」に変更しています。

実山椒のすき焼きの材料・分量

  • すき焼き用牛肉⋯300g
  • 牛脂⋯適量
  • トマト⋯2個
  • 伏見とうがらし⋯1パック
  • 実山椒(下ごしらえ済み)⋯大さじ3(24g)

【すき焼きの割り下】

  • 濃口しょうゆ⋯100ml
  • みりん⋯100ml
  • 水⋯100ml
  • 酒⋯100ml
  • さとう⋯大さじ4(32g)

すき焼きの割り下について

スーパーの陳列棚には、色々なすき焼きの割り下が

一応、割り下の基本的なレシピは書いておいたのですが、スーパーに行けば、高いものからやすいものまで、色々なすき焼きの割り下が並んでいます。
自分の好みの割り下探すだけでも当分かかるなあ、と。なので自作割り下にこだわっているわけではありません。
以前にそばつゆを自作しましたが、その時に作った「返し」を同量の水(もしくはだし)で割っても、「すき焼きの割り下」になります。これが一番美味しいかな…

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いずれにせよ、割り下はお好みで、ってことです。

具材の準備

トマトはへたを落とし4等分に。伏見とうがらしはへたを落として2等分に。

100℃で牛脂を溶かす

さて、ここからがReproらしいすき焼きの作り方です。まずは浅鍋の表面温度=100℃に設定して牛脂を溶かします。

80℃で1枚目の肉を焼く

牛脂が溶けて、鍋底に油が回ったら表面温度を100℃→80℃に下げます。
そもそもすき焼きって、基本的に肉を焼いているのって、最初の1枚目だけですよねえ。
そして大抵は最初の1枚がジュージュー焼けて火が入り過ぎに…
それがいやなので、和牛の甘いナッツ臭(ラクトン類の香り)が最も立つ80℃で肉に優しく火入れします。この時に実山椒も投入。
肉がピンク色になったら割り下をちょっとかけて、1枚目の「焼肉」をいただきます。

そして、割り下を足し、トマトや伏見とうがらしを投入して本格的にすき焼き開始です。この時の表面温度=105℃、まあ軽くふつふつと煮立つぐらいですかね。
トマトと伏見とうがらしは最低限の具材で、実際には焼き豆腐や葛切りなども足してしまっています。
いずれにせよ、実山椒の風味に加えてトマトのうまみと酸味も足されて「爽やかな夏のすき焼き」になります。ちなみにこれも実山椒に当たらないと山椒味にならないので、いちいち実山椒をトッピングして肉をいただきます。(途中から粉山椒かけてしまうこともありますが)
そしてシメには山椒風味のすきうどんを…
ビールも進むし、ワインも。意外ですが山椒にとても合うワインもあるんですよ。
ということで、実山椒を堪能したところで、公開したReproレシピはこちらです。

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