低温調理で揚げない鶏から揚げ

揚げ物禁止のおうち

 うちでは揚げ物禁止です。一番の理由は、集合住宅なので揚げ物をしてしまうと油の匂い(オイルミストも含め)がなかなか取れないから。
同様の理由から揚げ物を敬遠される方も最近は多いのでは?

「ノンフライヤーを使えばいいじゃないか!」って?

いや、キッチンにもう新しい調理機器を置くスペースもないんですよ…汗
でもたまには「鶏のから揚げ」を食べたくもなります。

二度揚げするから揚げ

鶏から揚げは今や二度揚げは常識

 そこで今回は油で揚げない鶏からについて考えてみようと。
そもそもから揚げが美味しいお店では「二度揚げ」するのがいまや常識です。140℃ぐらいの低温の油で肉の中心まで火を入れ、かつ余熱でさらに優しく火を入れ、最後に170℃とか180℃の高温の油で短時間揚げて衣をカラッと仕上げます。
しかし最初の火入れが140℃だとしても、鶏肉の芯温と油の温度差=温度勾配はそれなりに大きいので、鶏肉の中心は優しく火が入るけれど表面に近い層は理想より火が入り過ぎるという「グラデーション」が必然的に出来てしまいます。

低温調理で均一に火を入れる

鶏もも肉を65℃1時間で低温調理

それでは
(1)「鶏肉の中心まで均一に優しく火入れをする」
と言う工程と、
(2)「衣をカラッと仕上げる」
と言う工程を完全に分けてしまったらどうでしょう…

(1)の工程を完璧にするには「65℃で1時間煮る」などと言った低温調理が最適です。この時の煮汁に、すでに味付けをしてしまい、最適な火入れがされた鶏肉に粉をはたいてフライパンに少量(大さじ2ぐらい)の油をひき、高温で「揚げ焼き」のような状態にしたら?という話です。
おうちで揚げ物はなし、フライパンに1〜2cmの油を入れてのシャローフライもなし、という条件だと、このやり方が一番イケているのではないかなあ…

電子レンジ仕上げの威力

 その前に「揚げないから揚げ」のもう一つの方法、「電子レンジ仕上げ」についても検証を。電子レンジでいけるなら、さらに便利です。

冷凍鶏から揚げの威力

ニチレイフーズさんの「特から」

まずは一番お手軽、電子レンジ仕上げの冷凍鶏から揚げです。購入したのはニチレイフーズさんの「特から」。


サイトを見ると「余熱を利用し、肉の旨味を閉じ込めカラッと仕上げられる独自製法「三度揚げ」を採用!」と、かなり気合の入った商品のよう。

「特から」の仕上がり

包装の裏面には、から揚げの個数と電子レンジのワット数と加熱時間のかなり詳細な表が記されています。
2個の場合500Wで1分40秒、600Wで1分20秒。かなり気を使って火入れをした状態を維持したいという開発者の思いが伝わってきます。
おおっ、電子レンジからワイルドなにんにくの香りが…
素晴らしい! 味は結構濃いめですが美味しいです。火入れの感じは「芯温=75℃〜80℃で火入れしました」ぐらいのジューシーで柔らかいイメージでしょうか。
電子レンジ仕上げの冷凍食品でここまで完成度が高いとは…

普通の鶏もも肉で電子レンジ仕上げ

 次はこちら、味の素パークさんのレシピです。


味の素さんの製品「香味ペースト」を使って、お手軽に電子レンジで仕上げるというもの。

味の素 CookDo クックドゥ 香味ペースト 222g

手順は、鶏もも肉をぶつ切りにして香味ペーストを揉み込んだら、片栗粉をまぶして電子レンジ600Wで4分加熱するというもの。
ただし、この加熱時間は鶏もも肉1枚(200g)の場合。35〜40g/個ぐらいのぶつ切り✕2切れだと何分にすれば良いのか…
必ずしも重量比にはならないので、2切れを2分間加熱するということでやってみました。

鶏もも肉に香味ペーストを揉み込みます。分量が少ないので香味ペーストの存在が写真からは全然分かりませんが…

さらに片栗粉で衣を付けます。

そして電子レンジ600Wで2分間加熱すると。
ありゃりゃ…
まったく焼色は付いていないのに、芯温は100℃超え。正直美味しくないですねえ。電子レンジ仕上げって加熱する量が変わると、途端に適切な加熱時間が分からなくなるっていうのが難点ですよね。
正直美味しくありません。というか、「これはから揚げか?」という感じ。


ちなみに味の素さんにも美味しそうな冷凍鶏から揚げの製品が何種類かあります。
つまりは「ねっ、自分で電子レンジ仕上げの鶏から揚げを作ると美味しくないでしょ?だったら無駄な努力はせずに冷凍鶏から揚げを買ってしまいましょうよ。」というレシピなのかなあ…

低温調理の揚げない鶏から揚げ

 と、現代における冷凍鶏から揚げのクオリティの高さを理解した上で、低温調理で肉に火入れをして、最後に高温のフライパンに大さじ2の油を入れて表面温度=200℃で「揚げ焼き」するという実験をしてみます。実験なので、まずは鶏もも肉ぶつ切り✕4個で。

低温調理鶏から揚げの材料・分量

  • 鶏もも肉ぶつ切り⋯4個(35〜40g/個)
  • サラダ油⋯30ml(大さじ2)

【低温調理用煮汁】

  • 酒⋯150ml(カップ3/4)
  • 水⋯150ml
  • 濃口しょうゆ⋯60ml(大さじ4)
  • にんにく⋯6g(大1片)
  • しょうが⋯9g(小1片)

【衣の材料】

  • 片栗粉⋯4g
  • 薄力粉⋯2g

65℃1時間低温調理

まずは衛生基準をクリアできる65℃1時間の低温調理から。この時に「低温調理用煮汁」で一緒に味付けもしてしまいます。このあたりが湯せんタイプの低温調理よりReproの便利なところですね。(と自画自賛)

衣を付ける

1時間低温調理したら鶏肉を引き上げ、ポリ袋に分量の片栗粉と小麦粉も加えて袋の中で振って衣を付けます。が、ここでポイントを3つ。

(1)鶏肉の粗熱を取ってから衣を付ける
65℃で低温調理した鶏肉を引き上げてすぐに衣を付けてフライパンで揚げ焼きすると、元々芯温が65℃に近い状態でさらに加熱されるので、焼き終わりに芯温は65℃以上になってしまいます。
実際には75℃前後まで上がります。一方冷蔵庫などで粗熱を取って芯温=13℃前後の鶏肉を揚げ焼きすると仕上がりは芯温=48℃ぐらいになりました。もちろんこれでもすでに65℃・1時間加熱しているので問題はないのですが、中がぬるい鶏からってのもね…
ということで30〜40℃ぐらいの芯温の鶏肉を揚げ焼き(表・裏50秒づつ)すると、ちょうど芯温=65℃前後で仕上がるようです。

(2)鶏肉はよく煮汁を拭き取っておく
1時間低温調理しているので、すでに鶏肉に味は染み込んでいます。なので煮汁はできるだけきれいに拭き取ってから衣を付けましょう。これだけで油ハネがまったく違います。

(3)余分な粉はハケで取る
衣は全体にまんべんなく付いていてほしいのですが、何しろ油少なめで揚げ焼きするので粉っぽくならないよう余分な粉はハケなどで取ってください。

揚げ焼きの準備

フライパンは直径20cmのシリコン樹脂加工フライパンを使用しました。
少ない油で、かつフライパンを斜めにしないでアロゼしたいので、できるだけコンパクトなサイズのフライパンを使ってください。
フライパンの表面温度を200℃にして、油を投入します。
常温の油を入れると温度ドロップするので、油が200℃になるまで1〜2分待ちます。

揚げ焼き開始

鶏肉のまず片面を。ここでのポイントは、焼目をしっかり付けるためフライパンに鶏肉を置いたらそのまま動かさないこと。このまま50秒待ちます。

50秒経ったら裏面に返します。油が少ないので側面に焼けていない粉が白く残りがちです。その時は、粉の残っている部分にアロゼ(この場合は油をスプーンでかける)してください。

裏面も50秒焼き上げするとこんな感じです。

こちらが完成写真。肉の断面にうっすらピンクの部分が見えており、ジューシーに仕上がっています。もちろん65℃・1時間の低温調理をしているので「生焼け」の心配はありません。
実際に食べてみると、先程の冷凍食品より肉のジューシーさと柔らかさはまさっています。
味付けも良い感じです。
じゃあ衣のカリッと感はどうかと言うと、「まあ、こんなものかなあ…」ってところですかね。
「揚げたてカリッを堪能したい」と言われるとしんどいものがありますが、お弁当のおかずなどに使うのならまあ合格点ってところでしょうか。
どうせ冷めてから食べるのであれば、前の晩に低温調理しておいて、そのまま鍋ごと冷蔵庫にしまい、朝お弁当を作る直前に取り出して「揚げ焼き」すれば、絶対に火の入り過ぎはないので安心です。逆に揚げ焼き時間を片面1分とかに延長して、さらに焼目を付け、カリッとさせることもできるはず。


これもReproレシピとして公開しておきました。Reproユーザーの方は、アプリで検索して使ってみてください。

メルマガ購読


Reproに関する最新情報をいち早く知れるほか、Reproキッチンコラムのホットな記事もお届けいたします。ぜひご登録ください。