前回のコラムでご紹介した「ハネ品のとうもろこし」ですが、「朝の気温が下がるとさらに甘みを増す」と北海道・石狩の農家さんがおっしゃっていた「ハネ品とうもろこし第2弾」が到着しました。今回は前回からの続編ということで。

カッターで天ハネしてあるものも散見されますが、またもや見事なとうもろこし。さっそく前回と同じ手順でコーンスープを作ってみます。(コーンスープの作り方は前回のコラムをごらんください)

あいにく手元に糖度計がなかったのですが、あり得ないぐらい甘くて美味しいです。前回もかなり甘くて美味しかったのですが、これはもうスイーツ(最近は死語みたいですが)の領域ですね。
本当に広くみなさんに体験していただきたい味です。
裏ごしガラを再利用する
そして前回のコラムで最後にお話したとおり、コーンスープで裏ごしした「濾しガラ」を使って「スイートコーン・フリッター」的な料理を作り、余すところなく、この美味しいハネ品とうもろこしを食べ尽くす、というのも実行しました。
詳しくはこちら、英国の新聞ガーディアン紙のサイトを。
スイートコーン・フリッターとは

このサイトによればスイートコーン・フリッターの理想的な作り方は以下のとおり
- とうもろこし(粒が250g取れる分量=約2本)を丸ごと薄い塩水で1分間茹でる。
- 粒を外し、そのうちの50gをミキサーにかけてペースト状にする。
- 小麦粉、コーンスターチ(とうもろこしのデンプン成分)、コーンミール(つまりとうもろこし粉)、塩を合わせ、卵とバターミルク(日本ではあまり見かけませんが酸味のある発酵乳)を加えて混ぜ合わせ生地を作る。
- とうもろこしペーストを少量の油で炒め、軽く焼色が付くまで水分を飛ばす。
- 生地と炒めたペースト、残り200gのとうもろこし粒、青唐辛子、青ネギを加えて混ぜ合わせて最終生地は完成。
- フライパン底面が覆うくらいの油を中強火で加熱し、スプーンで生地を1杯づつ落とし、言わばシャローフライにする。
- 上面が乾き始めたら裏返して、裏面も炒めて完成。
つまりスイートコーン・フリッターとは、とうもろこしのお好み焼きというかパンケーキというか、をシャローフライする食べ物のようです。
当然ながら今回はコーンスープの裏ごしガラの再利用というのが趣旨ですから、コーンの粒なんてありませんし、普通の日本のキッチンではあまり見かけないコーンミールとかバターミルクも使いません。コーンスターチも片栗粉で代用します。
裏ごしガラ・フリッターの作り方
それではさっそく作っていきましょう。ちなみに今回はあくまで「試作品」なのでそこのところはよろしくお願いします。
材料と分量

当然ながら主材料はコーンスープを裏ごしした時に出るとうもろこしの裏ごしガラです。

ハネ品とうもろこし✕4本でコーンスープを作って、裏ごしガラはちょうど150gでした。
実は何回か実験してみたのですが、
裏ごし作業を雑で適当にやる → 裏ごしガラ・フリッターはミルキーでコーンの風味と甘みが美味しいコーンのパンケーキ版になる。
裏ごし作業をきちんとやる → 裏ごしガラは味も風味もないただの繊維質の粉砕クズになる。
当たり前ですがこういうジレンマはあるわけで、しかしながら今回の主旨はあくまでも「農家さんが丹精込めて作ったとうもろこしを無駄にしない」ということですから、裏ごしガラ・フリッターを美味しくするために、仕事を適当にするのは本末転倒。
この「4本で150g」というのは、きっちりと裏ごし作業をした場合の分量です。
この150gをベースに材料・分量を決めます。
- 裏ごしガラ(とうもろこし4本分)⋯150g
- 薄力粉⋯45g
- 片栗粉⋯15g
- 塩⋯少々
- パルミジャーノ(削ったもの)⋯20g
- 牛乳⋯80ml〜100ml
- 有塩バター⋯10g(何枚も焼く時は増やしてください)
裏ごしガラ・小麦粉・片栗粉をボウルに

まず裏ごしガラと小麦粉(薄力粉)・片栗粉・塩をボウルに。
削ったパルミジャーノの加える

さらに削ったパルミジャーノを加えます。パルミジャーノを加える意味は以下のとおりです。
(1)きちんと裏ごししたガラは味も何もしません。なのでチーズ味を付けるため。
(2)少しでも仕上がりをパリッとさせたかったので、パルミジャーノのクロカンテ効果(つまり熱を加えると溶けるだけでなく焼けて固くなる性質)を狙った。
※加熱するとチーズが溶けるだけか、焼けて固くなるのか、の詳細はこちらのコラムをお読みください。
無理やり混ぜてみた

できるだけ仕上がりをパリッとさせたかったので、水分をまったく加えずに材料を力ずくでこねてみました。
本当はこのまま焼きたいところですが、このままフライパンに乗せると整形できず、「出土された土器の破片」みたいな姿になってしまうでしょう。

仕方ないので、牛乳を80ml加えて生地を緩めました。
アンビバレントな気持ちです。一生懸命、裏ごし作業で牛乳を搾り取ったのに、また牛乳を加えるなんて…
ちなみに100mlとか生地がホットケーキ的になるぐらい緩めれば「見た目」はきれいになります。このタイミングで卵黄1個ぐらいを加えれば、さらにホットケーキ感は増します。
ただ、ベーキングパウダーとか、生地をふっくらさせるものはまったく入っていません。「ただのもったりしたパンケーキ」が出来上がるので、「見た目」と「カリッと感」はトレードオフの関係です。
表面温度=170〜190℃で炒める

あとはパンケーキと同じ要領(バターを入れますが)で、フライパンで焼きます。
ホットケーキを焼く時の表面温度が170℃、ガレットを焼く時の温度が190℃なので、170〜190℃の間のお好きな温度で。
ところでシリコン樹脂加工フライパンだったらパンケーキを焼く時はバターや油を入れません。それでも有塩バターを入れた理由は以下のとおり。
(1)いちおう元レシピがシャローフライしているし、そもそもレシピ名が「フリッター」なので油分=ゼロというのはいかがなものかと思った。
(2)前にも話したとおり、しっかり仕事をした裏ごしガラは味も風味もないので、チーズとともにバターで風味付けした。
本当はスプーンで生地をすくって、少しづつ小さなフリッターを作るのですが、面倒くさくなって一気に全部生地を入れてしまいました。

表面温度=190℃で両面を3分ずつ焼いた完成図は、この写真のとおり。
仕上がりは… はっきり言って、膨らんでいない中がもっちりしたパンケーキです。
食感としては、一番近いのは「厚めのチヂミ」ですかねえ…苦笑
ただパルミジャーノ効果は出ていて、表面などはそれなりのパリッと感があります。
つまるところ、まあまあ美味しいです。
もしかして正解は、逆に牛乳や卵黄をもっと加えて粘性を低めて、ガレットのようにフライパンに薄っすら生地を流し込むことだったのかも。
パルミジャーノの効果でクロカンテ的なちょっとパリッとしたガレットのようなもの、になる気がします。
これについては、また来シーズンに北海道・石狩の農家さんからハネ品とうもろこしが送られてきたら実験してみたいと思います。
いちおう実験の結果をReproレシピとして公開しておきます。このレシピでは表面温度=190℃に設定しています。
とうもろこしの二番穂問題
ところで「ハネ品」の話を前回のコラムに書いたことを知った農家さんからこんな連絡が…
2番穂の話もあります。一本のトウキビから2本取れます。2番穂も製品価値が無く皆に配っているのが現実です。食べるには何も問題はありません。
この前いただいた「ハネ品とうもろこし」は?
1番穂ですよ。味は同じです。
味は同じ… ではなぜに?
1番穂よりは小さいので、基本的に市場では1本の重さが400g以上。となってます。
2番穂の方が皮が柔らかいので我が家では余った2番穂を食べてます。
えっ、二番穂の方が皮が柔らかいの?
市場関係者とか、農協なら共選所があり一本当たり450g以上になります。
我が家は個人売買になるのでそんな規制にならないので助かってます。😅
今度送るトウキビに2番穂1本入れますので違いを確かめて下さいね😅
もしかしたら2番穂が好きになるかもね💦

知らなかったことばかりです。
つまり、とうもろこしは茎のてっぺんにある雄穂から花粉が下に降り注ぎ、下に生えている雌穂が受粉します。そして雄穂に一番近い(つまりは一番高い位置にある)雌穂から一番穂、二番穂…と実っていきます。
そして一番穂から順に大きく実るので、一番穂を大きく育てるために二番穂以下を除去してしまう栽培法もあるようですが、その効果は限定的なので、そのまま育てる農家も多いようです。つまり生育条件が良ければ二番穂もそれなりに育つということ。
そして一番大きい一番穂でも「ハネ品」が出てしまうのに、各地各所で出荷の重量制限(中には300gでOKというところもあるようですが)があるため、二番穂は現実的にはほぼ出荷できる規格には達しないというのが現実。
にも関わらず栽培した農家さんは一番穂のハネ品を食べるのではなく二番穂の近所に配った余りを自家消費するという。
虫の次に美味しいものを知っているのは栽培した農家さんのはず。その農家さんが二番穂を食べるということは…
つまり「市場価値の序列と、食べる側のおいしさの序列が一致していない。」ということですよね。
いやあ、我々消費者はもっと自分が食べる食材について知識を持つべきですね。これからの時代は、若者たちに農業訓練を義務付けるべきかも、とすら思ってしまいます。
今年は食料自給率が極めて低いこの国について、色々考えさせられる夏でした。





