ハネ品のとうもろこし

北海道・石狩の農家さんから「ハネ品」のとうもろこしをたくさんいただきました。「ハネ品」とは、虫食いがあったり形が悪かったりで出荷できない作物。「ハネもの」と呼ばれたり、出荷できず、知り合いや近所の方に配るしかないため、地方によっては「おつかいもの」と呼ばれたりします。
「百姓貴族」という北海道の農家出身のマンガ家さん原作のアニメを以前に見たんですが、その中で「じゃがいもは収穫量の約1/2しか出荷できない」と言っていました。
衝撃的でした。とてつもない低収率というか、フードロスです。
とうもろこしはいったい収穫量のどれくらいが「ハネられて」いるのでしょう…
先端をカットすれば十分食べられるのに出荷できない。それは切断した時点で「通常の一本物として外観がそろわない」「日持ちが悪くなる」などの理由から、JAとかの正規品には しにくいのでしょう。
つまり何が言いたいかと言えば、「食べられないからハネ品になる」のではなく、ハネられるかなりの部分は、「その流通商品の仕様に合わないからハネる」なのだということ。
日本全国の農産物の「ハネ率」はいったいどれくらいにのぼるのでしょう…
農水省が発表する「作況調査(野菜)」には収穫量と出荷量が記載され、その差は分かるのですが、その収穫量の用語定義を見ると、
収穫したもののうち、生食用又は加工用として流通する基準を満たすものの重量をいう。
これって、つまりハネ品は収穫量にすら入っていないということ?

だいたいスーパーとかに行っても、最近の野菜ってものの見事に美しいですよね。形が悪いものや、虫食い部分をカットしたものなんてほとんどお目にかかれません。
そりゃ、私だってキャベツから虫が出てきたら嫌ですけど、そういう消費者の嗜好、そしてそれに応えようとする流通・小売の思惑、そういったものが絡んで、この国に「壮大なフードロス」を生んでいるのかもしれません。
至高のグルメは虫…

「頭の方に虫食いがあるものは、カッターで切ってハネ品にしています。でも実は虫が食べたとうきびが甘いのです。」
と、農家さん。
そうなんですよね、誰よりも虫が一番美味しい作物を知っているんですよね。
そう言われて、一粒、生で食べてみると…
甘〜い!美味しい!高級スーパーで買う「糖度の高い品種」とかうたっている けっこうなお値段のするとうもろこしより遥かに甘くて美味しいです。
「最後のとうきび送る予定です。朝の気温が下がると皮が固くなり、甘さは増します」
これ以上、甘くなるって…
シンプルなコーンスープを作る
農家さんの話を聞く限り、いただいたとうもろこしは茹でたり、蒸したり、焼いたりするのがベストなのでしょうが、そうは言っても食べ切れる量ではなかったので、一部はコーンスープにすることにしました。
これだけ美味しいと下手な小細工はしたくありません。「芯ごと茹でる」なんて面倒くさい手間も。
限りなく素材の味を生かしたシンプルなスープを作りましょう!
コーンスープの材料・分量
【2人分強】
- とうもろこし(北海道的にはとうきび)⋯2本
- 牛乳⋯400ml(カップ2)
- 塩⋯3g
電子レンジ800W ✕ 6分

とうもろこしと牛乳だけで作りたいので、茹でたりはせず、ラップに包んで電子レンジで加熱します。(「手抜き」という側面も否定できませんが)
800W ✕ 6分(うちの電子レンジでは安全機構なのか800Wだと最長3分間しか連続加熱できなかったので800W ✕ 3分 ✕ 2回しました)
もし500Wで加熱するなら、単純計算だと約9分30秒。まあ9分ぐらいで様子を見る感じでしょうか。
加熱後はかなり熱いので、素手で取り出す なんてことはくれぐれもしないように。
まあ、素手で触ることができる温度まで下がるのは最低でも30分ぐらいはかかりますかね…
やけどしないように気長に待ちましょう。その間にもとうもろこしには熱が入っていきますから。
とうもろこしピーラー登場!

と、ここで新兵器の登場です。
「OXOコーンピーラー ミニ」。Amazonで1,260円でした。
包丁で粒を剥くと、どうしても無駄が出てしまうので、少しでも無駄を減らそうと、生まれて初めてのとうもろこし専用ピーラーを購入しました。
ちなみにこの製品が絶対おすすめというわけではなく、単に「とうもろこしピーラーランキング」みたいなネット上のページで1位だったから、というのが購入の理由。
とにかく、とうもろこしが素手で触れる温度まで下がったら、このピーラーを使って粒を取ります。

おおっ、かなり気持ち良いです。取り外した粒は、ミキサーへ。

すべての粒を取り終わった後のとうもろこしの芯。この先の人生、何回とうもろこしからコーンスープを作る機会があるのか分かりませんが、専用ピーラーを買って良かったと思える瞬間です。
ミキサーにかける

ここでさらに強力兵器の投入。Vitamixの登場です。この強力なミキサーを最強パワーでかけたら、もしかして「裏ごしなし」でコーンスープが出来るのでは?と、ほのかな期待を抱きつつ…

牛乳400mlと塩3gを入れて最強パワーでかくはんします。
裏ごしをする

うん、やっぱりダメでした。裏ごしした方が圧倒的に舌触りが良いです。
コーンスープ完成

保存容器に移して冷蔵庫へ。冷製コーンスープの完成です。
ひたすら甘くて、美味しい。
コンソメもバターも生クリームも必要ありません。ましてや砂糖など。冷蔵庫にディルがあったので風味付けに浮き実にしました。
北海道の大地が広がる…

石狩平野の遥か地平線まで続くとうもろこし畑。
北海道の大地の恵みが口の中に広がります。
(石狩平野に行ったことはないので、すべて脳内自動生成画像ですが…)
それで話は「ハネ品」に戻ります。山梨県の果樹園の息子が昔うちの営業社員として働いていたのですが、その時に「実が落ちちゃって、おつかいものなんですが実家から送ってきたので良ければ」と言って落果した桃をくれました。
その桃の美味しさと言ったら、人生で食べた桃の中で一番美味しかった記憶があります。その後 彼は実家の果樹園を継ぎ、今も毎年「売り物の桃」を購入させてもらっています。
毎年 本当に美味しい桃なのですが、やっぱり完熟・落果した「おつかいもの」にはかなわないんですよ。
トマトなんかもそうですよね。やっぱり枝になった状態で赤く完熟した実はたまらなく美味しいです。当然、完熟してから出荷したら日持ちしないので、緑色の状態で出荷するのはいたしかたないのでしょうが…
世界的なフードロスの問題や、サスティナブルな社会をどう作っていくか?という意識高い系な問題もそうなんですが、何よりも我々 消費者は「一番美味しいところを捨てているのではなないか?」というところ。
難しい問題ですが、やっぱり消費者が、まず自分の思う「美味しい」もしくは「商品選び」の基準を変えていかないといけない、ということに尽きるのかなあと。
えっ「お前そんなに食材を大事にしろと言いながら、裏ごししたとうもろこしのカスは捨てているんじゃないだろうな?」と?
はい、捨てました。でもいささかの罪悪感があったので調べてみました。
イギリスのガーディアン紙のサイトで、料理記者Felicity Cloakeさんによる「複数の既存レシピを比較検証し、理想的な作り方を組み立てる」シリーズの記事ですが、ここで「スイートコーン・フリッター」なる料理を取り上げています。
「スイートコーン・フリッター」はとうもろこしの粉や粒をこねて油で炒めた「小さなガレット」のような料理なのですが、これをとうもろこしの裏ごしカスで作れないかなあと。
- 裏ごしカス:100g
- 薄力粉:30g
- 片栗粉:10g
- 粉チーズ:10g
- 塩:少々
こんな感じの分量にして、こねてガレット生地を作り、フライパンに薄くバター(油でも)を敷き、表面温度=190℃ぐらいで焼けば美味しいんじゃないかと想像しているわけです。

まあ、想像なだけでこんな風になるかも分からないんですが、秋に皮が固くもっと甘いとうもろこしが届いたら、試してみます。


