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甥っ子にフランス人彼女が…
先日、地元で中学校の同窓会があり、ついでに久しぶりに実家へ。甲斐性なしの兄はとうに見放され、実家は数十年前から妹夫婦が二世代住宅を建て、親の面倒を見て暮らしている。そして長く無沙汰しているうちに、実家は強烈に変貌していた。

なんとフランス人女子が手料理でお出迎え。
うちの実家はいつから「民泊」になったんだ?と思いきや、なんと甥っ子の彼女カーラちゃん。初めて会うおじさんのために手料理で、と。
おじさん、これまでの人生、日本人の彼女にもそんな温かいおもてなししてもらったことないぜ…
それにしても「男子3日会わざれば…」もとい「実家3日行かざれば刮目してみよ」である。
ガレット・ブルトンヌ
カーラちゃん、その料理は?と聞けば、
galettes bretonnes(ガレット・ブルトンヌ)
当然だが流暢なフランス語で答える。和訳すれば「ブルターニュ風ガレット」。
あれ?日本でガレット・ブルトンヌと言えば、

こんな感じの模様が入った厚焼きクッキーのことでは…?
カーラちゃんが作っているのは、日本で「Galette Complète(ガレット・コンプレット)」(全部のせ?ガレット)と呼ばれているものでは?
ブルターニュ地方のガレットは平たいもの

実はそば粉で作ったこの写真のガレット・コンプレットもブルターニュ地方では「ガレット・ブルトンヌ」。
厚焼クッキーは、Sablé breton(サブレ・ブルトンヌ)とか呼ばれて売られていることが多いとか。どうもブルターニュ地方では「ガレット」と言うと「平たく焼いたもの」ぐらいのザクッとした意味らしい…
(私)ところでカーラちゃん、なんで日本に来たの?
日本文化に興味があって…
(妹)カーラちゃん歌も上手いのよ。
(私)どんな歌が好きなの?
「残酷な天使のテーゼ」とか…
(私)エヴァの主題歌?
そう、エヴァ大好き〜!
まるでNHKスペシャルでジャポニズムの特集番組を見ているようだ。日本文化、特にアニメ(コスプレも含め)や漫画や音楽をフランス人の多くが興味を持っているっての本当だったんだな。NHKさん受信料払っていて良かったです…
中学生でも作れるよ!

カーラちゃんが言うには、地元ではガレット・ブルトンヌは中学生でも作れる簡単な料理だとか。
クレープ状の生地をフライパンで薄く焼くのは、見るからに難しそうだが、地元では「目玉焼き作ったよ」とか「卵かけごはん作ったよ」ぐらいのノリらしい…
せっかくルセットを教えてもらったから、おじさんも頑張って作ってみるよ!
フランス人彼女直伝のルセット
galettes bretonnes recipe:(for 4 galettes)
ガレット・ブルトンヌのレシピ(4ガレット)
- -125g of buckwheat flour(そば粉⋯125g)
- -20g of butter(バター⋯20g)
- -salt(塩)
- -pepper(こしょう)
- -2 eggs(たまご⋯2個)
- -13 cl of milk(牛乳⋯130ml)
- -13 cl of water(水⋯130ml)
「cl(センチリットル)」という単位が出てくるところが、異国情緒 漂いますねえ。本来は小麦粉ではなく「そば粉」を使うので、材料には「そば粉」としてあるのでしょう。さらに、たまご、牛乳、バターが入っているところが、ほぼクレープです。しかし、そもそもガレット・ブルトンヌはクレープの元になった料理のようだから何も気にすることはありません。
そしてなぜかここからが日本語…
① ボウルに小麦粉を入れます。中央にくぼみを作り、卵2個を割り入れます。泡立て器で混ぜながら、牛乳と水を少しずつ加えていきます。最後に溶かしバターを加えます。塩とこしょうで味を調えます(塩は少なめでOKです)。
② 生地を2時間ほど休ませます。
③ フライパン(またはクレープパン)に油をひき、よく熱します。熱くなったら、生地を流し入れて薄く広げます。
④ 片面が焼けたら裏返します。
その上に卵を1個割り入れ(卵黄が中央にくるように、卵白を周りに広げます)、
こしょう+ salt を振ります。卵の白身が少し白くなってきたら、シュレッドチーズ(ピザ用チーズ)とハムをのせます。
生地の左右を折りたたみ、さらに上下も折りたたんで四角い形にします。
⑤ 生地がなくなるまで同じ作業を繰り返します。
(You can also had whatever garnishes you want, mushrooms, vegetables etc..)
マッシュルームや野菜などお好きな付け合せをどうぞ。
ポイントは2時間休ませる
カーラちゃん、懇切丁寧なルセットありがとう。うちの甥っ子のこともよろしくお願いします。
で、このルセットのポイントは「2時間休ませる」こと。
本来この料理はそば粉で作り、その香りも含めて味わうもの。小麦粉より浸透性が低いので、そば粉の芯まで水分が行き渡るために「休ませ時間」を作っています。
しかし実家に「そば粉」が常備されているはずもなく、小麦粉で作ったものをいただいたわけですが、それでも十分美味しい。ということで今回はあえて小麦粉で作ってみることに。
ガレット・ブルトンヌ(コンプレット)に挑戦
さて嫌な予感しかしないのは、直伝ルセットのガレット生地を裏返す作業。妹も「カーラちゃんは簡単だって言うんだけど、生地を薄く伸ばして作るのってけっこう難しいんだよねえ…」と。
これ、生地を裏返さないで作れたら、日本の中学生でも失敗なくできるのでは?
実は以前に、裏返さないで作る錦糸たまごのレシピを公開しています。
肝は、フライパンにふたをして蒸し焼きにすること。
ガレット・ブルトンヌ(コンプレット)は、結局表側にたまごを置き、さらにシュレッドチーズやハムも盛り付けて外側の生地を折り込んでしまう。つまり裏側は焼目がそれなりについて、表側はそれなりに火が通って乾いていればそれで良いのでは…
実際に作って分かったこと
ということで、今回は小難しい熱伝導率の計算なんかしないで、失敗覚悟でぶっつけ本番。
そして案の定 2回ほど失敗しました。その結果得た答えは…
(1)裏返さなくても、ふたをかければ普通に作れる。というかその方が仕上がりが良いのでは?
(2)最適加熱温度はフライパンの表面温度=190℃。このぐらい高温じゃないとカーラちゃんのような焼目が付きづらい。
(3)コンプレット(=たまごとシュレッドチーズとハムをトッピング)にするなら、最低でも直径26cmのフライパンが必要。これ以下だと結構具材がパンパンで折り込みの難易度が上がる。
(4)きれいな折り込み具合とパリッと感を左右するのは「生地の薄さ」。カーラちゃんのレシピで作った分量の生地を4等分して入れると生地が厚くなり折り込みが超難しくなります。たぶんこのレシピは直径28cm〜30cmぐらいのかなり大きいフライパンを想定しての分量では…
(5)前の話と表裏一体ですが、折り込みがしやすくて薄めのパリッとした食感にしたいなら、直径26cmのフライパンに対して生地が約80mlがお勧めです。24cmのフライパンで無理やり作るなら生地の量は60mlがお勧め。
直径26cmのフライパンに修正した材料・分量(ガレット2枚強)
ということで直径26cmのフライパンで2枚分のガレットを焼けるように材料・分量を修正しました。
【ガレット生地】
- そば粉(小麦粉)⋯60g
- バター⋯10g
- 塩⋯0.5〜1g
- こしょう⋯適量
- たまご⋯1個
- 牛乳⋯65ml
- 水⋯65ml
ほぼ元レシピの半量になっています。これで1回の生地分量=80mlなら2枚強って感じになります。生地の塩の量はハムやシュレッドチーズの塩分を見て調整してください。
【具 材】
- たまご⋯1個
- スライスハム⋯2枚
- シュレッドチーズ⋯適量
- 塩・こしょう⋯適量
こちらの塩・こしょうもハムとシュレッドチーズの塩味を見て調整してください。
それではさっそく…
ガレット生地を作る

ボウルにそば粉(小麦粉)を入れ、中央にくぼみを作ってたまご1個を割り入れます。

泡立て器で混ぜながら、ダマにならないように牛乳と水を少しずつ加えていきます。

最後に溶かしバターを加え、塩とこしょうで味を調えます。塩は2つまみ(1g弱?)ぐらいを入れました。最後に加えるハムとシュレッドチーズの塩味も考えて調節してください。

そば粉の場合は、生地を冷蔵庫で約2時間休ませますが、今回は小麦粉のみなので休ませてはいません。
具材を用意する

スライスハムは1枚を半分にカットし、ガレット1枚に対して2枚(=4カット)を用意しておきます。24cmのフライパンで作る時は、これだとハムが大き過ぎるので1枚を1/4カットで。

このコラムをお読みの方にはもう常識でしょうが、凝固しにくい「水溶性卵白(卵白のうち水のように粘性が低い部分)」は目玉焼きを作る時などには事前に濾し取っておきます。これは蒸し焼きした時に卵白が固まり切らないことを予防するため。詳しくはこちらを。
元レシピで「卵白を薄く延ばす」とあるのは、卵黄付近にある水溶性卵白だけを火が通りやすいように普通の卵白の外側にずらしておけ、という意味なのでしょうが、ちょっと難易度が高そうなので予防措置を講じました。
ガレット生地を焼く

フライパンを表面温度=190℃(中強火?)に加熱します。190℃に達したらサラダ油(分量外)をハケなどでフライパンに薄くひき、80mlのガレット生地を投入。フライパンを回して生地を薄く延ばします。
具材の配置がポイント

生地の表面が乾いたら、まずシュレッドチーズを投入します。元レシピでは最初にたまごを落としていますが、実際に最初にたまごを落とすと、少しでも傾斜があるとたまごの位置が真ん中からズレてしまいます。
なので、まずはガレットの中心付近に、たまごを落とすスペースを空けてその周辺にシュレッドチーズで「土手」を作っておきます。

その上でたまごを落とすと、ごらんのようにたまごが「巣ごもり状態」になり、位置がおおむね固定されます。

さらにハムを卵黄に被るか被らないかの中心付近に配置して、二重にダム形成を。この場合ハムの直線部分が最終的な折り込みの「折り目」になるので、あまり外側に配置すると折り込みが難しくなります。
そしてここで最終的なアセゾネ(塩こしょう)をしますが、たぶんこしょうだけで十分かと。
3分間蒸し焼き

ここでフライパンにふたをして約3分間蒸し焼きに。
ガレットを折り込む

3分間蒸し焼きにしたら、皿に盛り付けてから上下左右を折り込んでいきます。フライパンの上で折り込むより、平たいまな板にいったん置くか、皿に盛り付けてしまってから折り込む方が作業がしやすいかと。
そして、ここが蒸し焼きの難点ですが、卵黄に薄く卵白が被っていると、ごらんのように白く凝固してしまうことが。

でもご心配なく。そんな時もナイフなどで軽くこすってあげれば、凝固した卵白は簡単にはがれます。そして下からは良い感じに火が通った卵黄が。
これで完成。本当はこしょうを振るタイミングはこの時点がベストかと思います。
食べた感想

表面温度=190℃まで上げるとそれなりに生地のパリッと感も増えますが、クレープ的なものであることには変わりありません。でもこれはこれで十分美味しい。
このレシピは「小麦粉のガレット・ブルトンヌ」としてReproレシピに公開しています。
そば粉(ガレットミックス粉)で作ってみる
小麦粉とそば粉ではどのくらい違うのか?一応リファレンスとしてそば粉バージョンでも作ってみます。

と思ったらamazonで「ガレットミックス粉」なる商品を発見。そば粉にデンプン、卵白が最初から混ざっていて、「寝かせ」をする必要がないという便利な一品。
完全な「そば粉バージョン」ではありませんが、これで試作を。
ガレットミックス粉での材料・分量(ガレット1枚分)
以下は包装の裏側に書かれている作り方より。
- ガレットミックス粉⋯30g
- 水⋯60g
ガレット生地の材料はガレットミックス粉と水だけ。最初から卵白が含まれているのもあるのでしょうが、カーラちゃんレシピとは異なりシンプル。
具材は基本的に同じで、違いはスライスハム2枚→1枚になっているぐらいです。あとはフライパンにバター(もしくはサラダ油)をひいて同じように焼き上げます。
やはり生地を裏返すという作業はしていないけど、フライパンにふたすらかけていない。
興味深いのは、
「チーズがとけ、外側の生地がフライパンから浮き上がってきたら、四角になるように周囲を折りたたむ」
という工程が先にあり、その後に、
「卵の白身が固まり、お好みの焼き色ついたら、黒こしょうをふりかけて完成!」
となっていること。
つまりガレットミックス粉を使うと、折りたたむタイミングが視覚的に分かるのですね。そしてそれは通常、卵白が固まり切る前のタイミングだと。
そして「テフロン加工フライパン 約28cm使用」とあります。
やっぱりガレットを作る際の適正サイズは「直径28cmのフライパン」なのですね…
まあしょうがない。これも生地の分量を調節して直径26cmのフライパンで作ってみます。
ガレット生地や具材の下準備

ガレットミックス粉は、重量比でガレットミックス粉:水=1:2で混ぜれば良いだけなので、フライパンの大きさに合わせて自由に生地の分量を調節できるのが便利。

まずは包装にあるレシピ通りの分量(ガレットミックス粉=30g 水=60g)で混ぜてみます。
ガレットミックス粉はけっこうボウルの底とかに固まりで沈殿というか固着してしまうので、シリコンへらなどで底をたまにこすりながらホイッパーで丹念にかき混ぜます。
乾燥卵白が入っているせいもあり、小麦粉ガレットよりそば粉的な粘性を感じます。
仕上がりが80mlより若干少ない気がしたので、仕上がり量=80mlになるように少しばかり水を増やしました。(プラス10mlぐらいかな…)

スライスハムも1枚を1/4カットに。小麦粉ガレットの半分です。
ガレット生地を焼く

フライパンの表面温度は前回と同様に190℃に。190℃に達したらバターを全体にひきます。

ガレット生地を投入し、フライパンを回して薄く広げます。なんだか小麦粉の時と色も質感もかなり違うビジュアルに。
具材を乗せる

ここからの手順は、前回とほぼ同じです。表面が乾いてきたら、まずはたまごの位置を固定するためにシュレッドチーズの土手を作る。

たまごを中央にセット。今回は製品のレシピに忠実にするため、あえて水溶性卵白を取り除いてありません。

ハムを配置。このまま外側の生地がフライパンから浮かび上がってくるまで、じっと待ちます。

浮かび上がってくる、というよりはフライパンから外側の生地が剥がれてきたら上下左右を折り込みます。小麦粉の時より焼色が濃いですね。さっき「フライパンから外したほうが折り込みやすい」と言いましたが、まあフライパンの中でもなんとか折り込めます。というか小麦粉100%より、ガレットミックス粉の方が折り込みやすい気がします。
そして折り込んだら粗挽き黒こしょうを。
そしてここからが前回と違うところ。水溶性卵白があるにもかかわらず、ふたもせず、190℃でひたすら加熱し続けます。水溶性卵白が固まるまで…
ガレットミックス粉での仕上がり

具材を乗せてから加熱し続けること4〜5分。ついに水溶性卵白が固まったので火から下ろして、皿に盛り付けを。
裏面にはけっこう焼色が入りましたが、焦げているってほどではなく、逆にパリッと感が増しています。
ガレットミックス粉は、そば粉感もある一方で、デンプンがパリッと感を増し、卵白が生地を破けにくくしているので、素人がフライパン1枚で手軽に作るには最適。「寝かせ時間」が必要ないのも食べたい時にすぐ作れて便利です。
ちなみに、
生地投入から表面が乾くまで → 2分
具材を置いてから生地の上下左右を折り込むまで → 1分〜2分
生地を折り込んでから卵白が固まるまで → 4分
ぐらいが目安ですかね…
そばでもうどんでもお好きに
最後に改めてカーラちゃんに「レシピにはそば粉と書いてあるけど…」と聞いてみると、
「ソルティーな感じの味にしたい場合にはそば粉、お砂糖使ってまろやかにしたいときは小麦粉」
とのこと。実家でいただいたのもお砂糖は入っていなかったように思えるけど…
つまり分かりやすく日本的に言い換えれば、
「そばでもうどんでも好きな方を食べろや!」
ってことですかね。小麦粉で作ろうが、そば粉で作ろうが、どっちにせよ「ブルターニュ地方の郷土料理」だってことには変わらないというのが結論。
こちらは「ガレット・コンプレット(ミックス粉使用)」というレシピ名でReproレシピとして公開しておきました。






