アングレーズソースのレシピと卵黄の凝固温度

Reproレシピ「基本のアングレーズソース」

Reproのレシピ「基本のアングレーズソース」をアップしました。


アングレーズソースは、アイスやプリン、ケーキなどに使える万能選手。
その正体はカスタードクリームから小麦粉を抜いたものですが…
カスタードクリームよりサラッとしていて、当然ながら糖分はありますが、「グルテンフリー?」ですから。

【材 料】

  • 牛乳        200ml
  • バニラビーンズ   1/2〜1本
  • 卵黄        3個分
  • グラニュー糖    45g

【作り方】

詳細はレシピを見ていただくとして、ここでは簡単に作り方の説明を。

バニラビーンズのさやに縦に包丁を入れて、包丁の背で中のタネをこそげ取り、

牛乳で沸騰直前まで温めたら、ふたをして10分間、バニラの香りを牛乳に移します。

その間に卵黄とグラニュー糖を良くかき混ぜます。

温めた牛乳を少しづつ混ぜて…

もう一度、鍋に戻して、シリコンヘラなどで優しく8の字にかき混ぜながら、83℃まで加熱して3分間キープ。とろみがついたら完成です。
と、ここまでがレシピの概要なのですが…

なぜ83℃で3分間なの?

今回は、このレシピを元に改めて「卵黄の凝固温度」についておさらいをします。ちなみにこのレシピの元ネタは、実はホテルオークラさんのレシピです。


個人的には、83℃で3分間という加熱は、アングレーズソースとしては、若干「高温」の部類に入るかとも思っています。Reproでもないと(いやReproを使ってもかも、ですが)、80℃で火からおろして、余熱で83℃に…、という感じにしないと通常のガスコンロやIHコンロでは、火が入りすぎてしまうかも、です。
もちろん、どれくらいのとろみにするか?と言うこともありますが、さすが一流ホテル、やはり衛生面の配慮もあることが、この温度と時間の理由だと推測します。
ちなみに科学的な調理で有名な料理家の樋口直哉さんによると、あの世界的シェフのヘストン・ブルメンタールは、サラッとした仕上がりにするため、65℃になったら火からおろすべき、と言っているそうです。

卵黄の凝固温度

さて、卵黄それ自体の凝固が始まる温度は「65℃」です。ですからRepro開発チームが作成したレシピ「卵黄だけのカルボナーラ」は、フライパンの表面温度を65℃より3℃低い、62℃に設定しています。


3℃低く設定している主な理由は、「パスタの熱」がさらに加わってしまうから。
先程の料理家 樋口直哉さんが作ったレシピ「ultimate Carbonara」では、開発チームのレシピが卵黄2個使っているのに対して、なんと贅沢にも(だからultimateなんでしょうけど)4個使っているので、65℃ピッタリをキープさせています。

卵黄の凝固温度と液体の濃度

では、卵黄を何かの液体に溶かすとどうなるでしょう?
答えは当然ながら、卵黄が薄まれば薄まるほど、凝固温度は上がっていきます。
独立行政法人「家畜改良センター」によれば、3倍に薄めると凝固温度は85℃以上になり、7倍に薄めると、固まらなくなるそうです。


今回のアングレーズソースのレシピは、卵黄3個(約60g)に対して、牛乳が200mlですから、約3.3倍希釈。凝固が始まる温度=85℃よりギリギリ2℃低い温度で加熱していることが分かります。

卵黄は砂糖が入ると凝固しにくくなります

そしてもう一つ、Repro開発チームのカルボナーラのレシピが凝固開始温度の65℃より3℃低い理由は、「塩は卵黄の凝固を促進する」からです。カルボナーラには、茹でたパスタに含まれる塩分もそうですが、ペコリーノ・ロマーノなど、かなり塩分の強いチーズを使います。その塩分の影響を加味しての温度決めをしています。
では、今回のアングレーズソースのようにグラニュー糖が大量に入っていると卵黄の凝固作用はどうなるのでしょうか?
実は、砂糖は塩と反対に卵黄を凝固しにくくする方に作用するようです。1982年に調理科学会に発表された粟津原宏子先生の「卵白および卵黄の熱凝固について ー食塩,砂糖の添加による影響ー」に詳しく書かれています。


Reproレシピを元ネタにぜひ究極のレシピを

Repro開発チームが作るレシピは、Reproユーザー(もしくはユーザーでなくても)の方の参考として考えられています。
開発チームが作るレシピが、必ずしも正しいわけではありません。でも卵黄について言えば、
「どれだけ薄めると固まらなくなるのか?」もしくは、
「グラニュー糖の量により、どれだけ固まりにくくなるのか?」
こうした情報を元に、ぜひとも開発チームのレシピをベースに、さらに究極の(もしくはお好みの)アングレーズソースのレシピを開拓してみませんか?
アイスクリームにかけるなら、ブルメンタールのようにサラッとした仕上がりが良いかもしれません。料理家の樋口さんのレシピでは最後に生クリームを加えています。


もしかしたら、75℃あたりが、シャバシャバでもなく、もったりでもないちょうど良いアングレーズソースの粘度なのかもしれません。
少なくともReproがあれば、1℃刻みでレシピを詰めることができるのですから。