大根の旬を知る 古くから愛される「冬野菜の王様」の特徴と栄養

日本の食卓に欠かせない野菜である大根。紀元前2200年の古代エジプトにおいて既に栽培され、日本でも弥生時代には中国から伝来したとされています。
本記事では、そんな古くから愛されている大根の旬の時期と特徴、種類、選び方、保存方法について詳しく紹介します。

大根の基本情報

まずは大根とはそもそもどんな野菜なのか、基本的な情報から掘り下げていきます

古くから日本に根ざした野菜

大根はアブラナ科の野菜のひとつです。弥生時代には日本に伝来し、江戸時代になって全国各地で栽培されるようになったとされています。
煮物やおろしにして食べている白い部分は、ほとんどが根です。葉に近い上部は胚軸にあたります。

春の七草のひとつとしても知られる「すずしろ」は大根のことです。このことからも、古くから日本人に親しまれてきたことがよくわかります。

大根は、日本で最も生産されている野菜のひとつです。比較的甘みがあり、みずみずしい「青首大根」と呼ばれる種類が、いわゆる“大根”としてスーパーなどでよく売られているものです。
部位によって味わいが異なり、先端に近ければ近いほど水分量が少なく辛味が強いため、薬味や漬物に適しています。反対に、葉に近い部分は水分量が多くて甘く、サラダなどの生食に最適です。中央部分は、おでんや煮物に向いています。
また、大根の葉も栄養に富んでおり料理に使えます。

大根の旬の時期と特徴

ここでは、大根の旬がいつなのか、そしてその時期ごとの特徴に焦点を当てて解説します。また、日本各地の旬の大根の産地や、地域固有の品種についても触れ、大根の多様性を深く掘り下げていきます。

旬の季節と大根の味わいの違い

大根は年中買える野菜ですが、一般的に大根の旬は秋から冬にかけてです。そのため「冬野菜の王様」と呼ばれることもあります。
もちろん旬は産地や品種によって異なりますが、いま市場に出回っているのは青首大根がほとんどであることから、青首大根の旬=大根の旬と捉えて問題ないでしょう。この時期に収穫される大根はみずみずしく、甘みが増します。
一方、春から夏にかけての大根は辛味が強く、コリコリとした食感が特徴です。

主な産地としては、秋冬は千葉県、鹿児島県、神奈川県などが挙げられます。これらの地域では、特に甘みが強い青首大根が多く生産されています。
夏の大根は、寒い気候の青森県や北海道で生産されることが多いです。これらの地域では、辛味が強く、シャキシャキとした食感の大根が特徴です。

その他にも全国各地で古くから栽培されており、地域によっては独自の品種や食文化が発展しています。例えば、神奈川の三浦大根や京都の聖護院大根、加賀野菜の源助大根などがあり、これらの地大根は郷土料理にも活用されています。

大根の種類

日本全国で栽培されるさまざまな種類の大根はそれぞれ独自の特徴を持ち、多くの料理に活用されています。ここでは、日本で栽培されている主な大根の種類とその特徴について詳しく解説します。

人気の大根の種類と特徴

青首大根

ここまで何度か紹介している青首大根は、根の上部が緑色になるのが特徴で、1970年代から日本全国で広く栽培されています。耐病性に優れ、みずみずしく甘みが強いため、多くの料理に適しています。特に煮物やサラダに使われることが多いです。

白首大根

白首大根は、根が全体的に白色で、練馬大根や三浦大根などが有名です。古くから栽培されており、たくあん漬けなどの漬物に多く用いられています。

かいわれ大根

かいわれ大根は、水耕栽培で育てられ、双葉が特徴的な形状をしています。サラダや薬味として利用され、独特の辛味と香りが特徴です。

ラディッシュ

ヨーロッパ系の小型大根であるラディッシュは、赤い皮が特徴的です。サラダによく用いられ、収穫までの期間が短いことから「二十日大根」とも呼ばれます。

聖護院大根

京都市の聖護院地域で栽培される丸大根で、煮崩れしにくく、甘みがあり苦みが少ないため、煮物に適しています。

辛味大根

辛味が強いのが特徴で、焼き魚や蕎麦の薬味として利用されることが多いです。形はかぶに似ており、京都府や長野県で栽培されています。

桜島大根

鹿児島県で栽培される世界最大の大根で、重さが15~30kgにもなります。煮崩れしにくいため、煮物料理に適しています。

青皮紅芯

中国系の大根で、皮は青色、中は紅色です。水分が多く甘みが強いため、食べるだけでなく、料理の飾りとしても利用されます。

守口大根

非常に長い根を持つ大根で、生食には向かず、ほとんどが漬物(守口漬)として利用されます。

参考:野菜ブック|農畜産業振興機構

大根の選び方と保存方法

大根は日本の食卓に欠かせない野菜であり、その選び方と保存方法は料理の質を大きく左右します。新鮮で良質な大根を選ぶためのポイントと、長持ちさせるための保存テクニックを知ることは、おいしい料理を作るうえで非常に重要です。
ここでは、大根を選ぶ際の見極め方と、新鮮な状態を保つための効果的な保存方法について詳しく解説します。

新鮮な大根を選ぶには

新鮮で良質な大根を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。

まず、大根全体に張りとツヤがあるものを選びましょう。これは大根が新鮮で水分をしっかりと保持している証拠です。
形状はまっすぐに伸びて太い大根を選ぶことが望ましいです。また、持ったときに重みを感じるものは、水分が豊富でみずみずしいことを示しています。
そして表面がなめらかであることが良い大根の特徴です。

カットされた状態の大根で判断する場合は、断面を確認しましょう。きめが細かく、ス(隙間)が入っていないものが新鮮です。

長持ちさせるための保存方法

以下に、大根を長持ちさせるための効果的な保存テクニックを紹介します。

注意したいのは、葉の部分から水分が蒸発していってしまうことです。そのため、葉付きの大根は冷蔵・冷凍を問わず、葉元から切り分けて保存するようにしましょう。

冷蔵での保存

丸ごと1本の状態で保存したい場合、そのままだと長すぎて冷蔵庫に入れるのも大変です。基本的には根の部分を3つに切り分けましょう。根の部分は前述のとおり先端に近いほど辛くなるため、料理にあわせて使う部位を選びたい場合にも便利です。

キッチンペーパーでそれぞれ包んだら、保存用ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。この状態であれば1週間ほど保存できます。

葉の部分も保存したい場合、切り落とした葉の切り口に湿らせたキッチンペーパーを巻き、保存用の袋に入れたら野菜室で保存します。

冷凍での保存

根の部分を冷凍する場合は、使いやすい形に切ってから水気を拭き取ります。小分けにして重ならないようにラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍されて繊維が壊れるぶん、味が染みやすくなるのもメリットです。
冷凍であれば1カ月程度保存できます。

また、大根おろしの状態でも冷凍保存できます。その場合は水気を拭き取るのではなく、ざるに入れて余分な水分を落としてからジッパー付き保存袋に入れて冷凍してください。同じく1カ月程度保ちます。

葉は事前にかためにゆで、細かく刻みます。水気をキッチンペーパーで拭き取ったら、小分けにしてラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

大根の栄養と栄養素

ここでは、大根に含まれる栄養素の詳細と、私たちの体にどのように役立つのかを掘り下げていきます。

旬の大根に含まれる栄養素

大根には根と葉の両方に豊富な栄養素を含んでおり、健康維持に役立つ成分が多く含まれています。

葉にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。具体的には、可食部100gあたりの栄養素として、ビタミンA(β-カロテン)が3900μg、ビタミンCが53mg、ビタミンEが3.8mg、ビタミンKが270μgと高い含有量です。また、カルシウムが260mg、鉄が3.1mgと、骨や血液の健康維持に必要なミネラルも豊富です。これらの栄養素は、免疫力の向上や皮膚の健康維持、抗酸化作用に寄与し、日々の健康維持に欠かせない要素となります。

一方、大根の根部分にはカリウムが230mg、ビタミンCが11mgと、体内の水分バランスの調整や抗酸化作用に役立つ栄養素が含まれています。また、食物繊維も1.3g含まれており、消化促進や腸内環境の改善に効果的です。大根の根は、低カロリーでありながら栄養価が高く、ダイエットや健康維持に適しています。

根には消化酵素も複数含まれています。
アミラーゼは胃腸の動きを活発にし、胃もたれや二日酔いを防ぐ効果があります。脂肪を分解する作用のあるリパーゼも含まれており、揚げ物など脂っこい料理に大根おろしをのせることで胸焼けを防ぐ効果があります。

大根を使った郷土料理

日本各地には、地元の食材を活かした郷土料理が数多く存在します。栃木県の「えび大根」と石川県の「大根ずし」は、大根を主役にした郷土料理の代表例です。

えび大根

「えび大根」は、栃木県南部の伝統的な郷土料理で、特に寒い季節に作られる冬のごちそうです。特に小山市南西部の生井地区・白鳥地区周辺では「笹エビ」と呼ばれる川エビが豊富に獲れることから、この料理が発展しました。

川エビは炊くと赤くなり、白い大根との色合いが美しく、縁起物として祝いの席にも用いられていました。また、水神祭などの行事や祝い事の際にも作られ、地域の人々に親しまれてきた料理です。

調理法は、大根を皮をむき輪切りまたは半月切りにし、下ゆでした後、川エビと一緒に水、砂糖、酒、しょうゆを加えて煮込みます。この際、弱火でゆっくりと煮ることで、味がよく染み込みます。
現在では川エビの代わりに桜エビを使用することもあります。

大根ずし

大根ずしは、石川県を代表する伝統的な発酵食品です。加賀の特産品である身欠ニシンと大根を主要な材料として使用し、米と麹で作られた甘酒で漬け込んで発酵させることで作られます。

大根ずしの歴史は古く、藩政時代から北前船の交流がこの料理の発展に大きく影響を与えてきました。北前船は、日本海を経由して北海道から江戸、大阪へと米や魚を運ぶ商船群で、その航海途中の拠点であった能登地方には、全国各地から多くの物品が運び込まれました。特にニシンは供給量が多く、庶民にも手に入りやすい魚介の一つでした。

大根ずしの製法は地域によって異なりますが、金沢市では拍子切りにした大根に小切れのニシン、人参などを甘酒に漬け込む方法が一般的です。
雪の多い地域では、酸っぱくなりやすい甘酒の代わりに麹を使用します。加賀野菜のひとつである「源助大根」は、柔らかい肉質と甘みが大根ずしによく合います。

正月などの特別な日に提供される「かぶらずし」とは異なり、大根とニシンが手に入りやすいため、家庭でも日常的に作られます。大根のシャキシャキとした食感と、脂がのった魚の甘み、発酵による酸味が調和した独特の味わいが特徴です。骨まで食べられるため、お酒の肴にも適しています。

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