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本かえしのその後

前回はそばの「本かえし」を作りました。詳細はこちらをごらんください。
それから1週間。あの時は「1日だけ開放系で寝かせる」と言いましたが、なんとか頑張って3日間は開放系を維持しました。
変化はと言うと、まず一晩開放系で寝かせると、部屋に漂っている出来立ての時の少し鼻にツンとくるしょうゆ特有の刺激臭が減り、しょうゆの香り→しょうゆせんべいの香り? に変わってきます。
しょうゆせんべいって美味しそうな香りがするけど、刺激臭はないですよね?あの感じに近い香りへと…
イソブチルアルコール, n-ブチルアルコール,イソアミルアルコールはしょうゆの欠かせない香気成分であるのと同時に、大量だと刺激臭の元でもあるので、これらが減っていくと、少なくとも香りのカドは取れてきますね。ただ一晩だと瓶に鼻を近づけるとまだ刺激臭が…
2日目になると直接 瓶を嗅いでも「しょうゆせんべいの香り」がしてきます。ただまだ刺激臭も残って…
3日目になると、ほぼほぼ「しょうゆせんべいの香り」になります。ここでOKとしました。
だしの取り方を元レシピで確認
年越しそばの「だし取り」についても、前回と同じくヒゲタしょうゆさんのサイトを参考にします。
本かえしのレシピでは、明確に温度を指示していました。だしは「沸騰させる」ということで温度こそ明示していませんが、その代わり分量と時間を定量的に指示しています。
かつお節と宗田節とさば節

もちろんかつお節だけでもOKですが、ヒゲタしょうゆさんのサイトでは、宗田節とさば節を加えると、
「上品かつ奥行きのあるだしになります。」
とのこと。
そしてそれぞれの節ごとの抽出時間を明確に規定しています。
- かつお節厚削り⋯40分間
- 宗田節厚削り⋯30分間
- さば節厚削り⋯20分間
つまり、かつお節→宗田節→さば節 と10分の時間差で追加していくということです。
そして、それぞれの節の割合は「1:1:1」です。
もりつゆ用とかけつゆ用はだしの濃度が違う

プロ向けレシピでは、抽出する水の量は18Lとなっていますが、それに対する節の分量は、もりつゆ用とかけつゆ用で異なります。
- もりつゆ用⋯1〜1.2kg
- かけつゆ用⋯600g
節の重量:水=1:15(もりそばの場合)
節の重量:水=1:30(かけそばの場合)
かけそばのつゆに使うだしは、もりそばのつゆに使うだしの半分の濃度なんですね。最後にかえしとだしを合わせますが、その時の「かえし:だし」の比率が、
もりそば⋯1:3〜4
かけそば⋯1:8〜9
なので、常に「かえし:だし成分の抽出量」という比率を一定にしたいと言うことなのでしょうか。このサイトのレシピは常に「何か明確な基準」に従って首尾一貫していると感じます。
2人分の分量に割り戻す
以前「うどん」のつゆを作った時に、10分間軽く沸騰させてだしを抽出しました。
この時は、2人分=600mlのうどんつゆを作るのに、760mlの水が必要でした。今回は40分間沸騰し続けます。
元レシピでは18Lの水を使っていましたが、仕上がりはいったい何L残るのでしょうか…
実際に作業をするのはうどんつゆを作ったのと同じ場所で、かけそばつゆ2人分 600ml(正確には、かえしの分を差し引いて540ml)を確保するには元の水量と節の量はどれくらいにすれば良いか?
結構この計算は複雑なので、AIさんに手伝ってもらいました。AIと色々検討した結果は以下のとおり。
- 直径16cmの鍋を使用
- 元水量⋯1.0L
- かつお節⋯10g 宗田節⋯10g さば節⋯10g の合計30g
なんと仕上がり量は元の半分近くになってしまいます。でもいったんこの想定でやってみましょう。
ちなみに元レシピの分量で寸胴鍋を使ってだしを引いた時に、仕上がりがどれくらい残るか?の推定は12〜14Lでした。
Reproレシピ化
ということで、かけそばのだし取りをReproレシピ化しました。

だしを取ったあと、元レシピでは、かえしと合わせて85℃に加熱しています。その上で、かけそばの場合はそのまま保温して完成。もりそばは85℃まで加熱したら火からおろし、また鍋の口に布をかけて一晩なじませて完成です。
なのでそこまでをReproレシピ化しています。
さっそく作業してみます。
沸騰させてかつお節を投入

まずは鍋に水1.0Lを入れて沸騰させます。沸騰したらかつお節厚削り10gを投入。節を入れた瞬間に吹きこぼれることがあるので、ご注意を。
Reproの場合、沸騰アクション・本体センサー使用の場合、95℃で一定火力フェーズに移行します。つまりピッとアラームが鳴っても、まだ想像していたグツグツ具合より弱いはずです。しかしちょっと待つと、鍋全体に火が回ってきて次第に沸騰具合が強くなっていきます。「まだちょっと弱いかな?」と思うぐらいのタイミングでかつお節を投入するのが、吹きこぼれ防止の安全策かもしれません。もちろん「びっくり水」という方法も、冷静ならReproのスタート・一時停止ボタンをタップして一時停止するという方法もありますが…
10分後に宗田節投入

かつお節を入れて10分経過したら宗田節10gを投入します。この時も突沸に注意して少しづつ入れましょう。
宗田節をいれて10分経ったら さば節投入

宗田節を入れてから、さらに10分経過したら、さば節を投入します。
さらに20分間抽出

さば節を投入してから、さらに20分間抽出して完成です。
だしこしする

抽出が終了したらすぐにだしこしをします。この間もだしは蒸発しているので手早く。
かえしと合わせる

だしの完成です。元の鍋をさっとゆすいで、だしを戻します。仕上がり量は470ml。かえし:だし=1:9にした場合の目標値は540ml(かえし60mlを合わせて600ml)ですから、70ml足りません。でもここは単に70mlの水を足すことで解決します。
もし仮に元の水量を1.1Lに増やすとすると、正確には節の量を12gづつに増やさないといけないことになりますが、そうすると今度は増えた節の吸水量を計算して、さらに元水量を増やすと…
と「アキレスと亀のパラドックス」みたいな状態に陥るので。割り切りも肝心です!

そして自作の「本かえし」と合わせます。600mlなので
1:9なら、だし540ml:かえし60ml
1:8なら、だし533ml:かえし67ml
1:8は端数が出るので、ひとまず1:9で。(苦笑)
85℃に再加熱

かえしと合わせたら、いったん85℃に加熱します。もりそばの場合は、そのまま火からおろし、布をかけて一晩なじませます。
かけそばの場合は、蒸発して煮詰まらないようにふたをきっちりかけ85℃キープで保温。そのままそばを茹でて完成です。
かけそば完成

はい、「かけそば」の完成です。
「それで味の方はどうだ?」
というご質問ですか?率直に美味しいです。
でも…
かえしの「寝かせ」が3日間のせいなのか、そばつゆにして食べてみると、ほんのわずかに「しょうゆのカド」があるのが分かります。これまで意識もしなかったのですが、「かえし」から作って初めて「しょうゆのカド」という感覚が分かりました。
きっと1〜2週間寝かせれば、このカドも取れたのでしょう。
これも今回初めて分かったのですが、寝かしを十分に取れないなら、砂糖の量を増やした方がごまかせます。
砂糖少なめだと、そばつゆがキリッとするのですが、カドがさらに際立ってしまいます。やっぱり一度は自分で作ってみないと分からないことってありますね。
…なんて魯山人先生みたいなこと言ってしまいましたが。
ということで、Reproユーザーの方はこちらをアプリで検索してみてください。そして大晦日には美味しい年越しそばを召し上がってください。






