豆にしわが寄らない 美しい豆ごはんの炊き方

豆ごはんの旬だから

 やっぱり春になると「豆ごはん」が食べたくなります。豆ごはんと言っても、今回のレシピは「えんどう豆」を使ったもの。他にも枝豆ごはんやそら豆ごはん、秋になると黒豆を使った黒豆ごはんを食べる地方もあり、本当はとてもバリエーションの多い料理です。

グリーンピースも絹さやもえんどう豆

さらに言えば、一口にえんどう豆と言っても種類はさまざま。グリーンピースから絹さや、スナップえんどうも、みんな「えんどう豆」。ちなみにえんどう豆は、

さやが硬い硬莢種(こうきょうしゅ)
さやが柔らかい軟莢種(なんきょうしゅ)

の2つに大別されます。
お店に並んでいるたいていの緑色のものは、さやが柔らかい軟莢種です。
未熟のさやを収穫したのが「さやえんどう」。ちなみに「絹さや」はさやえんどうのさらに若いさやを収穫したものです。さや同士が擦れる音が衣擦れに似ているので「絹さや」。
では、「スナップえんどう」は?と言うと、中の豆が未成熟な順に、

絹さや → スナップえんどう → さやえんどう

ということだそうです。絹さやは、ほとんど中の豆が感じられないぐらい薄い状態、スナップえんどうはそれよりもちょっと豆が成長した状態、そしてさらに成長した状態がさやえんどう、というわけです。
絹さやよりさらに若い、一番赤ちゃんの状態で収穫したものは、中華料理の炒め物などに使われる「豆苗」です。
ちなみにスナップえんどうを「スナックえんどう」と呼ぶこともありますが、農林水産省によれば、正式名称は「スナップエンドウ」です。


ではグリーンピースは?と言うと、豆が成熟して丸くなり、乾燥が始まる前に収穫したものです。
つまり「さやえんどうがさらに大人になった状態」ということですか…

じゃあ、さやが硬い硬莢種は?と言うと、一番身近なのはみつ豆とか豆大福などに入っている「赤えんどう豆」でしょうか。

今回使うのは「うすいえんどう」

 今回のレシピに使うのは「うすいえんどう」。グリーンピースが品種改良されたもので、主に和歌山県などで生産されています。
関東の方には馴染みが薄いかもしれませんが、関西ではかなり好まれているえんどう豆です。
甘みはグリーンピースの方がありますが、グリーンピースほど「青臭さ」がありません。そしてグリーンピースよりホクホク感が強い品種です。

しわの寄らない 美しい豆ごはんの作り方

 今回の目的は、この「うすいえんどう」を使って、豆の皮にしわが寄らない、きれいな豆ごはんを作ることです。
とは言っても、「しわ対策」は単純です。一言で言えば、

「煮た豆をできるだけ空気中にさらさないこと」

これに尽きます。単純な話なので早速作っていきましょう!

材料・分量(2人前)

  • 米               2合(300g)
  • うすいえんどう(グリーンピース) 80〜100g
  • 水                3カップ(600ml)
  • 昆布               10g
  • 塩                 5g

「うすいえんどう」はさや付きがあればベストです。ちなみに さや付き=約200g(1パックぐらい)で、だいたい90gの豆が取れます。目安にしてください。

昆布だしを取る

まず60℃で1時間、昆布だしを抽出します。Reproユーザーでない方は、冷蔵庫で一晩、水出しするのがスマートですね。

えんどう豆を煮る

昆布だしを引き終わったら昆布を取り出し、豆を煮る準備をします。
さや付きの場合は、豆と一緒にさやも煮た方が、よりえんどう豆の風味が濃くなります。さやごと煮ても良いのですが、煮た後でさやから豆を取り出すと、その作業分だけ豆が空気に触れる時間が長くなるので、煮る前にさやと豆をより分けておきます。

より分けた豆とさやを鍋に入れ、分量の水と塩も加えます。さやが鍋に入り切らない時は、入る分だけで問題ありません。
この時大切なポイントは、「できるだけ小さいサイズの鍋を使う」こと。その理由は後ほど。
ちなみにこの鍋は直径14cmのものです。

98℃で6分間加熱します。Reproの場合はふたをずらしてかけましょう。
Reproユーザーでない方は、何しろぐつぐつ沸騰させず、静かに煮ることができる火加減にしてください。

6分煮たら、豆に火が通っているかをチェック。通っていなければ当然ながら、もう少し煮ます。
Reproユーザーの方はアップダウンボタンをタップして追加加熱してください。

豆に火が通ったら、煮汁の無駄な蒸発を防ぐため、きっちりふたをしてください。

豆ごはんを炊く

煮終えたら、まず米2合を研ぎます。

ざる上げした米を炊飯鍋に移します。この鍋はstaubの炊飯専用鍋ラ・ココット de GOHANなので、Reproレシピでは、ここで新たに、この鍋専用の炊飯レシピを本体に送信することになっています。


しかし他の鍋を使っても、ガス火で土鍋を使って炊いていても、電気炊飯器で炊飯する場合でも基本的なやり方は同じです。
「この機会に鍋でごはんを炊いてみようかな?」と思い立った方は、こちらも参考にしてください。

米を炊飯鍋に移したら、水の代わりに、さっき豆を煮た煮汁を入れます。
米2合(乾いた米で300g)の場合、炊飯する時の水の量は、

研いだ米の重量 + 足す水の重量 = 720g

が基本です。300gの米を研ぐとだいたい330〜340gになるので、
720g ー 340g = 380gぐらいの煮汁が必要になるはず。
いずれにせよ豆を煮た鍋から、米と煮汁の合計が720gになるよう煮汁を入れていきます。

ここで大切なポイントを。
豆を煮た鍋に、「豆がひたひたに浸かるだけの煮汁を残しておく」ということです。こうすれば豆が空気に触れることがなく、しわが寄る心配はありません。
もし直径が14cmぐらいまでの小さいサイズの鍋であれば、ギリギリ豆が浸るだけの煮汁を残しておくことができるように元々、煮汁の量を計算してあります。
もし万が一、煮汁が足りない場合は、残念ですが豆の浸るギリギリの量まで煮汁を炊飯鍋に移し、足りない分は炊飯鍋の方に水を足しましょう。そこまで煮詰まっているのであれば、炊飯鍋に真水を足しても、想定している塩分濃度から、そう大きくずれることはないはずです。

そして適度な浸水時間を取って、炊飯をスタートします。煮汁がまだ温かい場合は、30分も浸漬すれば十分でしょう。電気炊飯器の場合も普通に炊飯を開始して大丈夫です。

そして米肌が見え、蒸らし時間に入ったら炊飯鍋(炊飯器)のふたを開け、ひたひたの煮汁に浸かっていた豆だけを投入します。
「赤子泣いてもふた取るな」
は、現代の火力では迷信です。ちょっとぐらいふたを開けても炊き具合に変わりはありません。豆を入れたら、またふたをして蒸らしを終えます。

蒸らしが終わったら、豆を潰さないように優しく天地を返し、豆を均等に混ぜれば「しわの寄らない豆ごはん」の完成です。
うすいえんどうで炊いた豆ごはんは、グリーンピースよりほくほくした歯ざわりです。ぜひとも春の味覚を堪能してください。
Reproユーザーの方は、公式アプリで「基本の豆ごはん」を検索して、本体へ送信してください。

圧力IH炊飯器をお使いの方への注意

 もし高級な圧力IH炊飯器をお使いでしたら、1気圧以上の圧力がかかっている状態では、ふたを開けられない、もしくはエラーになるかもしれません。こうした素敵な炊飯器をお使いの方は製品の取扱説明書にしたがって操作してください。

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