旬のせりを味わい尽くす(牛肉とせりのしゃぶしゃぶ)

 前回に続いて「旬のせりを味わい尽くすシリーズ」の2回目は、「牛肉とせりのしゃぶしゃぶ」です。


NHKの「みんなのきょうの料理」にある大原千鶴さんのレシピをベースにReproレシピ化します。それにしても大原千鶴さんのレシピってやっぱり日本のミシェル・ブラス 京都 美山荘のお嬢さんだなあと感じます。
「せり」って元々は田んぼのあぜ道とかに生えている野草ですよ。それを使って牛肉のしゃぶしゃぶという豪勢な一品に仕上げてしまうあたりが次元が違うって感じです。
そもそも、せりと牛肉って相性が良いんですよね。

京都 八坂の塔周辺

10年ぐらい前に京都の名店「修伯」で出された牛肉とせり(根付き)にサッと火を通した煮物をいただいた時に、せりのほのかな苦味と牛肉が本当にベストマッチで、巨匠 吉田修久さんのセンスの良さに感動したのを今でも覚えています。

でも大原千鶴さんのレシピをお手本にした最大の理由はこれです。


なんと、ごまだれを自作するレシピまで。
前回のコラム記事でお話ししたとおり、今年の抱負の一つは「冷蔵庫から市販の◯◯だれ、◯◯つゆ、◯◯だしを一掃する」こと。
ということで、まずは「ごまだれ」の自作から始めます。

ごまだれのレシピ

ごまだれの元レシピ

 大原千鶴さんの元レシピに書かれている「ごまだれ」の材料・分量は以下のとおりです。

【材料・分量】

  • 練りごま(白)⋯100g
  • 薄口しょうゆ⋯大さじ2
  • 砂糖⋯大さじ1
  • 米酢⋯小さじ1
  • 水⋯大さじ3

手順は以下のように書いてあります。

  • A】(練りごま・薄口しょうゆ・砂糖)を砂糖が溶けるまでよく混ぜ合わせる。
  • 水を少しずつ加えて溶きのばし、最後に米酢を加えて混ぜる。

さっそく言われたとおりに作ってみましょう。

レシピにある材料はこれだけ。なんかごまだれって思ったより簡単そうです。

練りごまと砂糖・薄口しょうゆ

ビーカーに練りごま100gとグラニュー糖と薄口しょうゆを入れて、砂糖が溶け切るまで混ぜます。

溶け切らない と言うか混ぜられない

ミニホイッパーで混ぜていると、そのうちモソモソした感じに…
あれ?だんだん粘性がすごくなってきて、砂糖が溶け切るどころかかき混ぜることも難しくなってきます。
千鶴さん、これ人の力じゃかき混ぜられないですよ!

ハンドブレンダー登場

仕方がないのでハンドブレンダーのお出ましとなりました。それでもかなりかくはんが困難なので砂糖が溶け切る前から水を少しづつ加えてしまいました。

「自作ごまだれ」は衝撃的に美味しい

そして最後に米酢小さじ1を加えて、ようやく「自作ごまだれ」が完成。
結局、水は大さじ4(60ml)加えました。最低でもそのぐらいはないと、容器に移し替えるのも困難なほどの粘性になってしまいます。
ちなみに一晩冷蔵庫に置いたら、また固くなったのでさらに15mlの水を加えて緩めました。結局、最終的には大さじ5(75ml)ってことになりますね…
これでも、一般的なごまだれからすると「かなり濃厚」な感じです。それから水は最初から少しづつ加えていかないと、ハンドブレンダーを使っても混ざり合わないです。

ただし出来上がってみると、これは確かに文句なく美味しい。こんな単純な材料しか使っていないのに、大げさでなく今までのごまだれの常識が覆される感じです。

牛肉とせりのしゃぶしゃぶのレシピ

 なんとか自作ごまだれも完成したので、今度は「牛肉とせりのしゃぶしゃぶ」を作っていきます。

元レシピの材料・分量

【しゃぶしゃぶの具材】

  • 牛薄切り肉(しゃぶしゃぶ用)⋯150〜200g
  • せり⋯1把

【しゃぶしゃぶの煮汁】

  • だし⋯カップ2(400ml)
  • 薄口しょうゆ⋯大さじ1(15ml)

以上です。手順は土鍋を火にかけ、しゃぶしゃぶしてごまだれにつけるだけ。
「だし」とは普通の昆布とかつお節の合わせだしのことですかねえ。

Reproで作る牛肉とせりのしゃぶしゃぶレシピ

牛しゃぶしゃぶって、最後は煮汁がビーフコンソメみたいになってしまうので、かつお節のだしというのも…
なので今回は昆布のだしだけを引いて煮汁にすることに。
それに庶民にとってのしゃぶしゃぶはシメに中華麺とか、きしめんとかというのが相場です。
それを考えると、だしの量が400mlというのはちょっと少ないかも。なので具材の分量は元レシピのままに、煮汁は倍量にして、最後に中華麺でシメたいと思います。


【Reproで作るしゃぶしゃぶの煮汁の分量】

  • 昆布⋯15g
  • 水⋯0.8L
  • 薄口しょうゆ⋯大さじ2(30ml)

60℃で1時間 昆布だしを抽出

水0.8L、昆布15gを鍋に入れて、60℃1時間 昆布だしを抽出します。

具材の下準備

昆布だしを抽出している間に、具材の下準備をします。
せりは洗ってから、根の掃除をし、葉・茎は水に約5分間漬けてシャキッとさせます。詳細は前回のコラム記事をご参考に。

しゃぶしゃぶ用の牛肉は、せりを巻きやすいサイズにカットしておきます。

黒毛和牛のしゃぶしゃぶは80℃がベスト

1時間経過し、昆布だしの抽出が終了したら昆布を取り出し、薄口しょうゆ 大さじ2を加えて80℃に加熱します。
程よくサシが入った黒毛和牛の、あのナッツにも似た甘い香りは、主に牛の脂肪に含まれる環状エステル構造を持ったラクトン類という有機化合物の香りで、この香りは80℃の時に最も香りが強く感じるという研究結果があります。

若い女性の香りもラクトン類?

ドラマに出てくる「ねんねなお嬢様」は、こういうことではありませんね…

ここからは完全に脱線です。ラクトン類の香りは、ココナッツとかミルクとかバターとかにも似ていて、若い女性に特有の甘い香りも主にラクトン類に由来するという話も。
そして加齢によってラクトン類の分泌濃度は低減していくとか…

そう言えば昭和の時代には、ねんねなお嬢様のことを「乳臭い女だぜ! 」などと言っているセリフを、ドラマなどで聞きました。
「ミルク臭い=赤ちゃん」という連想で「子どもだぜ」という比喩なのでしょうが、例えではなく、本当にミルクの甘い香りがしたのかも。
そしてそれは間違いなく「若い証拠」なわけですが…

牛肉でせりを巻いてしゃぶしゃぶ

閑話休題。煮汁が80℃に達したら、せりを牛肉で巻いて、サッとしゃぶしゃぶします。せりは生でも食べられますし、せりと牛肉を別にしゃぶしゃぶするより事前に巻いてしゃぶしゃぶする方が牛肉の甘さとせりの爽快感が一緒に味わえるのでお勧めです。大原千鶴さんのレシピではせりの根を食べているのか分かりませんが、「旬のせりを味わい尽くす」という今回の企画の主旨からして、当然ながら根もしゃぶしゃぶしましょう。

京都花背の山奥で、採れたてのせりを巻いて食べたらどれだけ美味しくてゴージャスな雰囲気を楽しめるのでしょうねえ…
でもおうちでも十分ゴージャスな気分に浸れる一品です。

80℃しゃぶしゃぶの難点はアク取り

80℃しゃぶしゃぶの難点は、温度が低すぎて牛肉の血液がアクとして凝固しないこと。このためReproレシピでは、

80℃でしゃぶしゃぶする→
途中でアク取りしたくなったら沸騰レベル+0.0に加熱→
アク取りを終えたら80℃に放熱して元のしゃぶしゃぶモードへ

というステップ構成になっていて便利です。

シメの中華麺は即席担々麺

そしてReproレシピには、シメの中華麺用に沸騰レベル+1.0で加熱するステップが最後にあります。
普通なら、手元の器に塩・こしょうを振り、ビーフコンソメ化した煮汁で薄めてビーフラーメンってことになるわけですが、今回の場合、お勧めするのは、自作したごまだれにラー油を少し垂らし、お好みにより煮汁でほんの少し割って「即席担々麺」にするというシメ。

それだけ自作ごまだれが美味しいってことなんですが…
今回は本当に「ごまだれの美味しさ」に開眼した実験でした。
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