おせち料理にも登場する「たたきごぼう」を作ろうかと思いたち、いつものごとくネットで色々なレシピを見ていたら、なんとごぼうを下茹で?する時に「だし」で炊いている某有名食品メーカーのレシピを見つけました。
まあ、そのレシピは顆粒だしを使っているので、それでも良いのかな?とも思うのですが、それでたたきごぼうの味は変わるんでしょうか?
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だしを多用しない最近の和食トレンド

今年(2026年)遂にミシュランの三ツ星を獲得した東京・西麻布の「明寂」さん。残念ながらまだ伺ったことはないのですが、代表的な一品「冬瓜の水煮」は名前の如しのようで、明寂さんは「だしに頼らない料理」で有名です。
和食の頂点に立つ京都の老舗料亭が「だしを味わう料理」なのに対し、東京では最近「素材の味をだしがマスクしてしまうから…」という和食のシェフが増えているような気がします。
知り合いの某名店のシェフも、
「一等検の高い利尻昆布を使うとだしが出過ぎるから、わざと二等検の安い昆布使っているんですよね。」
「最近はみりんも嫌なんですよね。もう調味料は塩としょうゆだけで良いかな」
とか…
つまりは、かつての天ぷらが「衣食い」と言われていたのに対し、「天ぷら近藤」の近藤さんを筆頭とする衣が薄くて素材重視の天ぷら=「素材食い?」が増えてきたように、和食の世界でも「だし食い」から「素材食い」へのトレンド変化がある気がしています。

ただこのトレンドはお客さん=食べる側にも、ある種の鋭敏な味覚が要求されると言うこと。
つまりは「お客さんも試されている」ということを意味しているのかもしれません。
明寂の中村英利シェフが作る「冬瓜の水煮」は、きっと冬瓜のうまみ(それは昆布とかつお節の合わせだしより遥かに微量な成分でしょうが)を味わう料理なのでしょう。
つまり素材を味わうためには、味わう方にも「うまみ過多な料理」にマヒしていない、繊細な味覚 ーそもそもはそれが「本来の味覚」だったのかもしれませんがー が必要とされます。
さきほどの知り合いのシェフが話していた言葉が象徴的です。
「予約をいっぱいにしたかったら簡単なんですよ。味付けをちょっと濃くすれば良いのだから。その代わり客の質が落ちますけど…」
一方でミシュランの星を獲得し、インバウンドのお客さんが増えているお店は、外国の方にも分かりやすいように次第に味付けが濃くなっている気もしますし…
本当に難しいところだと思います。
たたきごぼうのレシピ
ちょっとめんどくさい話をしてしまいましたが、そんな高尚な議論はさておき、私のような一般人にとっては「たたきごぼうの下茹で」に「だし」を使ったら本当に美味しくなるのか?というもっと身近な疑問の方が重要です。
もし、だしで下茹でしたら、そのままだしを捨てちゃうんですよ?
よほど美味しくなるなら「一考の余地あり」かもしれませんが、そうでもない限りあまりにもったいなくて…
京都人的に言えば「冥加に悪い」です。
とは言え「百聞は一見に如かず」。さっそく「だしナシ」と「だしアリ」の両方を作って味を比べてみましょう。まずは「だしナシ」から。
たたきごぼうの材料と分量

- ごぼう⋯1/2本(100g)
- 水(下茹で用)⋯0.5L
- 酢⋯小さじ1(5ml)
「だしアリ」の場合は水(下茹で用)の部分をだしに置き換えます。
【和える調味料の材料】
- 炒りごま⋯大さじ2(18g)
- 薄口しょうゆ⋯小さじ2(10ml)
- みりん⋯小さじ1(5ml)
- 酢⋯小さじ1(5ml)
洗ったごぼうをたたく

まずごぼうを洗います。たわしで洗うか、包丁の背で軽くこするか。
真っ白になるまできれいにするか、この写真ぐらいにとどめておくか、それによってごぼうの「土の風味」の強さが変わります。このあたりはお好みで。
まずは縦半分にしたいので、包丁がきれいに入る長さにカットした上で、縦半分に切ります。
そして麺棒(すりこぎ棒)などで、ごぼうを叩きます。ごぼうの繊維を破壊して味が染み込みやすくするわけですが、あまり強く叩くと割れてしまうので力加減にご注意を。
さらに細かくカット

麺棒などで叩いたら、5cm幅ぐらいの食べやすい長さに切って、さらに縦半分(つまりは元の1/4の半月切り)にカットします。
酢水に漬ける

ごぼうを切り終えたら、変色しないように酢水に漬けておきます。
10分間 下茹でする

鍋に水0.5Lと酢小さじ1を入れて、沸騰したらごぼうを入れて下茹でします。下茹で時間の目安は10分。ただしお好みで茹で時間は調節してください。
炒りごまを半ずりして調味料を

下茹でしている間に、すり鉢で炒りごまを半ずりにし、調味料を合わせておきます。
「洗いごまを炒るところから作る」というReproユーザーはこちらのレシピをご参考に。
ざるにあける

下茹でが終わったら、ごぼうをざるにあけ水気を切ります。
熱いうちに調味料と和える

水気を切ったら、ごぼうが熱いうちに調味料と和えます。
和えたら冷蔵庫などで半日ほど寝かせると味が馴染みます。
だしナシ完成

味を馴染ませたら「だしナシ」完成です。
きれいに洗い過ぎない、かつ茹で時間10分の「ワイルドバージョン」だと土の香りがして、歯ごたえもそこそこある「たたきごぼう」になります。
もうちょっと柔らかい方が良いなと言う方は下茹で12〜15分ぐらいをメドにしてみてください。
試食してみると、これはこれで美味しいですね。いわゆる「たたきごぼう」です。お正月気分が戻ってきます。
では次に「だしアリ」を作ってみましょう。水(下茹で用)0.5Lを昆布とかつお節の合わせだしに置き換えただけで、基本的な味付けは変わりません。
だしアリ完成

「だしアリ」の完成です。「だしナシ」からの変更点は以下の通りです。
(1)少しでもだしの味を染み込ませたいので皮を「だしナシ」よりきれいに洗った(取り除いた)
(2)下茹で時間を15分に延長した
ちなみに使った合わせだしのレシピはこちらを参考にしてください。
さあ、どれぐらいだしの味が染みて美味しくなっているのでしょうか?
「だしナシ」と「だしアリ」の比較
それで食べてみた結論です。
まあ、うっすらだしの味がしないでもないですが、ほぼ分からないですね。
食感がふにゃふにゃになるほど煮込みでもしない限り、だし0.5L使い捨てしても「だしナシ」と大差ないです。
それだったら和え衣の方に「だししょうゆ」や「土佐しょうゆ」でも使った方が効果的な気がします。
ということで、だしで下茹でするレシピは却下とします。今回の結論は以上!
あまりワイルドなのも歯ごたえがすごいので、今回のReproレシピでは下茹で時間=15分といったん決めました。このあたりはお好みで調整してください。






