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今回は難しいことは抜きに
Reproのコラム記事と言うと、その製品の性格上、どうしても科学的な実験をしたりしてしまいがちですが、今回はあまり難しいことは抜きにして、よくありがちな常備菜にも使える副菜「れんこんとひき肉のきんぴら」のレシピを。
「きんぴら」の語源
この農林水産省のサイトを見ると、江戸時代の古浄瑠璃「金平浄瑠璃」の主人公、あの金太郎で有名な坂田金時の息子「坂田金平(さかたのきんぴら)」という架空の人物の強さになぞらえて、ごぼうのしっかりした食感、歯ごたえ、ピリ辛の味つけから名付けられたとか。
金刀比羅(こんぴら)さんとは、まったく関係なかったんですね。てっきり香川県発祥なのかと思っていましたが、現在の北区滝野川あたりがごぼうの産地だったらしく、なんと東京(江戸)発祥の料理でした。
ただ分かることは、怪力で化け物退治をした坂田金平さんになぞらえるぐらいだから、歯ごたえと言うか、シャキシャキ感は必須ってことになるんですかね。
れんこんの長男はNG?

とすると、れんこんできんぴらを作る場合には、れんこんの3つの節のうち、写真でいうと一番奥になる、最もでんぷん量の少ない、繊維質の強い3番目の節(三男)を選ぶべきで、でんぷんが多く含まれ、ともすると加熱により「ホクホク感」が出てしまう長男(=写真手前)はNGということになるのでしょうか。
と言っても、なかなかスーパーで長男・次男・三男を選べるのは難しいし、たまには「優しい坂田金平さん」も悪くはないと思うんですが…
れんこんとひき肉のきんぴらの材料(2人分)
閑話休題してさっそく「れんこんとひき肉のきんぴら」の材料から。
- れんこん 150〜200g
- 合い挽き肉 100g
- ごま油 大さじ1/2(7.5ml)
- 砂糖 小さじ1(3g グラニュー糖なら4g)
- 酒 大さじ1(15ml)
- 豆板醤 小さじ1/2(2.5g)
- 濃口しょうゆ 大さじ1(15ml)
- だし(水) 大さじ3と1/3(50ml)
- 酢水 分量外
今回は合い挽き肉を使いましたが、豚ひき肉でも鶏ひき肉でもお好きなものにアレンジしてください。また普通のきんぴらごぼうと違い、唐辛子ではなく豆板醤を使っていますが、このあたりもご自由に。
皮を剥きスライサーで薄切り

まずは、れんこんの皮を剥き、半月状に縦にカットして薄切りにします。
れんこん、特に三男は繊維質が多く硬いです。自信のある方は包丁でもOKですが、ここは無理せず、ピーラーで皮を剥き、スライサーの「最厚」で薄切りするのが安全かも。
酢水にさらす
れんこんを切ったら3%程度(水500mlなら大さじ1ぐらい)の酢水にさらす、と言うのが料理の世界のお約束です。理由は、
(1)れんこんのポリフェノールに含まれるタンニンが変色する酸化酵素を酢が抑えるので、あの黒っぽい色に変色しない
(2)れんこんのネバネバ成分が酢によって抑えられるのでしゃきしゃき食感が得られる
という2つです。でも…
この、田野実温代さんという方がnoteで執筆されている実験によれば、(1)も(2)も酢水ではなく、ただの水にさらしても同様と。さすがに空気にさらしていると変色するようですが。
あいにく私は実験したことがないので、真偽のほどは分かりませんが、正直何も考えず酢水にさらしていました。それも3%より濃度の高い酢水に。
3%の酢水は、基本的に料理の味に影響しない濃度だとのこと。それなのにもっと濃い酢水に浸けているのは、ちょっと酸味が入った方が「れんこんのきんぴら」が美味しいからです。
いや単に個人的な好みの問題ですが…
とにかく、このレシピでは薄切りにしたれんこんを酢水にさらします。
豆板醤と酒を混ぜ合わせておく

次に豆板醤と酒を前もって混ぜ合わせておきます。理由は単純で炒める時に均一にまぶしたいからです。
もう一つの理由は、よく「郫県(ピーシェン)豆板醤」というのを使うからです。これは中国四川省の省都成都市の郫都区(ヒトク)というところで作られる豆板醤で、つぶつぶの豆鼓などが入っており、うまみがあって美味しいのですが、このつぶつぶの豆鼓を事前に潰しておくためにもこのひと手間をかけています。

ちなみに、単なる四川省の省都=省庁所在地?の成都市でも人口2140万人と日本の首都 東京都並み。中国には日本で言えば県庁所在地にあたる都市が東京都ぐらいの人口あるんですから、そのマンパワーってやっぱりすごいですよね。
また閑話休題。
135℃でひき肉を炒める理由(わけ)

フライパンにごま油をひき、135℃でひき肉を細かく崩しながら炒めます。
「なぜ135℃なのか?」って。
いろいろなサイトを見ると、世の中では「ガス火での弱火」というのは140℃ぐらいのことだそうです。なのでReproでの135℃は「弱火」と置き換えてください。
で、なんで弱火で炒めるのか?と言えば、以下の2つの理由から。
(1)油ハネを避けたいから
(2)しっとりとひき肉が仕上がるから
飲食店舗なら時間との勝負ですから、高温でジャッと炒めるところでしょうが、一般の家庭でそれをやればコンロ周りに結構油がはねます。この温度ぐらいだとほとんど油ハネはしません。ゆっくり炒めてコンロ周り(Repro周り)の汚れを減らすか?一度は油まみれにして、後でお掃除するか?これは人生観の問題ですね。
料理によっては、高温のフライパンにひき肉を置いたら当分触らず、焦げ目をつけるとともにひき肉を細かくせず「かたまり感」を出した方が良いものもあります。
ただ、れんこんのきんぴらには、かたまり感も焦げも必要ありませんし、やっぱり低い温度で炒めた方が水分蒸発量が少ないのでしっとり仕上がります。
れんこんを投入

ひき肉におおよそ火が通ったら、酢水を切ったれんこんを投入して透明感が出てくるまで炒めます。
砂糖を投入

れんこんが透明になってきたら、砂糖もしくはグラニュー糖をかけ回し、かき混ぜて、よくなじませます。この時に上白糖を使うのかグラニュー糖を使うのか、はたまた三温糖をつかうのか、はクリアな味をお好みか、こっくりした味をお好みかでご判断ください。
豆板醤と酒を投入

次に豆板醤と酒を投入
濃口しょうゆを投入

さらにしょうゆをかけ回し、炒めながらよく混ぜます。
最後は、だし(水)で煮上げ

最後は、だし(なければは水でも)を入れてグツグツ煮上げます。Reproレシピではこの時にフライパンの表面温度を140℃から120℃に下げていますが、これはグツグツ具合があまり過激にならないため。ガス火で作っている場合には、元々弱火でしょうが、さらに火加減を下げて優しく煮上げるとベストです。
ちなみにだし(水)を入れると、当然ながら一瞬温度が急激に下がり、最初はグツグツしません。ここであせって火を強めたりしないように。ちょっとしたらグツグツが始まりますから。
煮上がったら完成

煮汁がほとんどなくなったら完成です。きちんと煮上げて水分が蒸発していれば、密閉容器に入れて冷蔵庫で1週間ぐらいは持つはず。
常備菜として、ちょっとした副菜にも便利です。
ということで、Reproレシピはこちら。Reproユーザーの方はご参考まで。