横浜 元祖ナポリタン物語のきっかけはホテルニューグランドの元祖ナポリタンでしたが、まずはトマトケチャップで作る、多くの方がいわゆる「スパゲッティ・ナポリタン」と感じやすい、野毛にある洋食屋さん「センターグリル」の元祖ナポリタンからトライしてみます。
目次
喫茶店のナポリタンとの違いは
センターグリルの元祖ナポリタンが、普通の喫茶店のナポリタンと大きく異なる点は、その味付けが「トマトケチャップのみ」で、ウスターソースなどを混ぜていないことでした。
これを普通のトマトケチャップで、普通に作ったら結構 酸味のきついナポリタンに仕上がってしまいます。だから美味しくまろやかに仕上げるためには、完熟した糖度の高いトマトを使って作られたトマトケチャップが必須です。
カゴメ トマトケチャップ プレミアム
そこで登場するのが、カゴメ トマトケチャップ プレミアム。このケチャップについては「横浜 元祖ナポリタン物語その1」で詳しく説明しているので、そちらをご参照ください。
VOLCANOセンターグリルの横濱ナポリタンスパゲッチ 2.2mm
そしてもう一つの特徴的な点は、ナポリタンでも超極太の部類に入る2.2mmの特製スパゲッテイ「VOLCANO(ボルカノ)センターグリルの横濱ナポリタンスパゲッチ2.2mm」。この超極太の麺が、トマトケチャップとよく絡んで独特の風味を生んでいます。
高級なトマトケチャップはフライパンでじかに炒めるべきか?
トマトケチャップをフライパンで加熱するのは今や常識
今回の再現レシピで最も重要なポイントはここです。ナポリタンなどを作る時に、パスタと和える前に、トマトケチャップをフライパンなどでじかに加熱するのは今や常識のようです。この作業をすることによって、ケチャップの酸味が飛び(和らぐ?)、コクがでます。
料理家 樋口直哉さんもフライパンにスペースを空けてケチャップを炒めることを勧めています。
ドラマ化もされたマンガ「フェルマーの料理」でも主人公がナポリタンを作る際にトマトケチャップを炒めて料理人への道が始まる最初の方の場面は、とても印象的なシーンでした。
なんて分かった風なふりをしていますが、なぜトマトケチャップを加熱すると酸味が抑えられるのか?本当はその理由を知らないで言っています。
そもそもトマトケチャップの酸味ってクエン酸だから、175℃ぐらいまで加熱しないと熱変性しないんだけどなあ…
それはともかく、最初から甘く感じる高糖酸比の完熟トマトを使用している高級トマトケチャップも、この「ケチャップ炒め工程」は必要なのでしょうか?前回のコラム記事「横浜 元祖ナポリタン物語その1」でお店の人に聞いた限りでは、ケチャップはパスタを炒めた後に投入しているようです。
ここはケチャップを事前に炒めるパターン(パターン①)とパスタ投入後に絡めながら火を入れていくパターン(パターン②)の2通りの作り方を検証してみましょう。
※手元にマッシュルームの水煮缶がなかったことと、いささかマッシュルームが苦手なこともあり、今回の検証ではマッシュルームが入っていません。好き嫌いしてごめんなさい…
センターグリル元祖ナポリタンの材料(1人前)
- ボルカノ センターグリルの横濱ナポリタンスパゲッチ 110g
- サラダ油 10ml
- カゴメ トマトケチャッププレミアム 65g
- ロースハム(1.5cm幅に短冊切り) 30g
- 玉ねぎ(薄切り) 30g
- マッシュルーム(薄切り) 30g
- マーガリン(バター) 10g
- 水 大さじ2 30ml
パターン①のレシピ
【前日の準備】
前日にスパゲッテイ1人前(110g)を水1.5Lに対し塩15g(重量比1%)の塩水で茹でます。スパゲッテイの袋には「ゆで時間13分」とありますが、お店の方のアドバイス通りプラス2分してゆで時間=15分で。
茹で上がったら流水で締めて、サラダ油10mlをまぶして冷蔵庫に一晩。ここまでの工程はパターン①、パターン②とも同じです。
【当日の工程】
お店の方は、「色がちょうど良い感じになるまで…」とおっしゃっていましたが、それもなかなか難しいので、トマトケチャップの量は 1人前=65gと規定しました。
Reproでフライパンの表面温度=120℃に加熱してトマトケチャップを投入。30秒〜1分程度炒めます。今回はRepro1台でのレシピを作りたかったので、炒めたケチャップは別の容器にいったん移します。
フライパンをReproに戻して、キッチンペーパーなどで軽く拭き取ります。こんな風に跡が残っても気にしません。どうせ最後は全部一緒くたに炒めてしまうのですから。この後は、フライパンの表面温度=140℃と少し高くします。
表面温度が140℃になったらマーガリン(バター)を投入して、具材を炒めます。
玉ねぎが透き通ってきたらスパゲッテイを投入。塩こしょうしながら3分間炒めます。
3分間炒めたら、表面温度を120℃まで放熱しながら、水大さじ2(30ml)を回しかけます。
水が沸騰してきたら、別の容器に取り分けていた火の入ったケチャップを再投入。
水分が蒸発して、スパゲッテイにケチャップが良く絡むまでトングなどで混ぜながら炒めて完成です。
パターン②のレシピ
パターン②の場合は、フライパンの表面温度を最初から140℃にして、マーガリン(バター)を投入。
マーガリン(バター)が溶けたら、玉ねぎが透き通るまで炒めるのはパターン①と一緒。
そのままスパゲッティを投入して、塩こしょうしながら3分間炒めるのも同じ。
3分間炒めたら120℃に放熱しながら水をかけ回すのも一緒ですが、その後は火を通していないそのままのトマトケチャップを投入します。
そして、水分が蒸発してスパゲッティにケチャップが良く絡むまでトングで混ぜながら炒めたら完成です。
パターン①の完成写真
パターン②の完成写真
パターン①もパターン②も完成形の見た目はほぼ変わりません。でも一口食べてみると…
パターン①は、ほぼ完全に近く酸味が消えています。とても美味しいのですが酸味がほとんどないのでパンチがなく薄味に感じてしまい、塩味を足したくなる気分です。
パターン②は、程よい酸味が残っており、かなり上出来の仕上がりです。それでもお店のナポリタンよりは、酸味が若干抑えられている感じですが…
【結 論】
結論から言えば、パターン② つまりお店の方がアドバイスしてくれたようにスパゲッティを投入してからトマトケチャップを足す方式が正解でした。
普通の酸味の強いトマトケチャップの場合は、先にケチャップをフライパン表面で炒めて酸味を抑えてからスパゲッティを投入するという今どきな方式が正しいのでしょうが、完熟トマトを使った酸味が少なく糖度の高いケチャップを使う場合には、従来の方式で作った方が、適度な酸味が残ってバランスが良いということが分かりました。
ということで、パターン②をReproレシピ「センターグリルの元祖ナポリタン」として採用し、公開しました。皆さんもぜひお試しください。
次は、ホテルニューグランドの元祖ナポリタンのレシピに挑戦します。