れんこんの旬を見極める 時期と選び方を知って最良の味わいを楽しもう

れんこんといえば、内部に穴が空いた形状が特徴的な野菜です。日本各地で季節を問わず見かける根菜ですが、旬の時期はいつなのでしょうか? また、スーパーで見かける多くのれんこんの中から、最も新鮮でおいしいものを見分ける方法はあるのでしょうか?

本記事では、れんこんの基本情報から、旬の時期、選び方、保存方法にいたるまで、れんこんの魅力を深く掘り下げます。さらに、郷土料理に見るれんこんの多様な利用法も紹介します。

れんこんの基本情報

まずはれんこんの基本的な特徴から栄養面、さらには主要な産地について詳しく掘り下げていきます。

れんこんはどんな根菜?

れんこんは、ハスの地下茎が肥大化した部分のことを指します。なので、漢字で書くと「蓮根」になります。
特徴は何と言っても断面に見られる多数の穴。これらの穴は、酸素を水上の葉から送り込むために形成されたものです。
日本の食文化において、れんこんは正月料理や精進料理に用いられることが多く、穴のある形状から「先の見通しがきく」という縁起の良い意味を持つとされています。

成長するにしたがって節が増えていきますが、同じれんこんでも1個目の節と新しい節(最も芽に近い節)では味や食感が変わってきます。これは成熟度合いの違いによるもので、1個目の節は最も熟しているため、粘りと甘みがあります。反対に芽に近いほうはみずみずしくシャキシャキしています。

また、れんこんは中国種と在来種に大別されます。
中国種は、地下茎が浅く伸び、節間が短く太い特徴があります。これにより、掘り取りが容易で、耐病性にも優れており、現在の主流となっています。特に、晩生で高温期に急速に生育する特性があり、粘り気が少なく粉質な食感が特徴です。

一方、在来種は地下茎が深く伸び、節間が長くやや細い特徴があります。掘り取りには手間がかかり、収量も比較的少ないですが、肉質は粘質で食味が良好です。早生で低温に強いため、一部の地域では早採り用として栽培されています。

東の茨城、西の佐賀・徳島

日本のれんこん産地として、東日本では茨城県が、西日本では徳島県が主要な産地として知られてきました。しかし、令和3年産野菜生産出荷統計(確報)によると、佐賀県が徳島県を上回り、全国で2位のれんこん産地になっています。

茨城県は、れんこんの出荷量が2021年で22,200tと日本一を誇ります。茨城は豊富な水と肥沃な湿地帯に恵まれ、通年で出荷しています。

一方、西日本では徳島県が長らくれんこん産地として名を馳せてきました。しかし、最近では佐賀県がその地位を脅かしています。2021年の出荷量は、徳島県が3,960t、佐賀県が4,710tです。

徳島県は露地栽培のほかにトンネル栽培、ハウス栽培を駆使して、通年でれんこんを出荷しています。主に関西地方に出荷されるため、京阪や名古屋で好まれる、節間の長い系統の品種が多く栽培されています。表面が比較的白いのと独特の香りが特徴です。

佐賀県は、有明海の広い干拓と干潟があり、その肥沃な土壌を活かして品質の良いれんこんの生産量を増やしてきました。鮮度を保つために、あえて泥付きの状態で出荷されるのも佐賀県産の特徴とされています。
糸ひきが良く、モチモチとしたやわらかい食感が特徴です。

このように、れんこんの主要産地は東日本では茨城県が、西日本では佐賀県と徳島県がそれぞれの特色を持ちながら競い合っています。

参考:JAさがJA全農とくしま

れんこんの旬の時期はいつ?

れんこんの旬は具体的にいつなのでしょうか。ここでは、れんこんが最もおいしい時期と、その時期に収穫されるれんこんの特性について掘り下げます。

旬のれんこんの特性

れんこんは、初秋に生長が止まってから冬にかけて旬を迎えます。露地栽培では9月末までに生長が止まることが一般的です。産地や品種により前後しますが、だいたい3月ごろまでが具体的な旬の時期となります。
茨城や徳島では、旬の時期以外ではハウス栽培やトンネル栽培で生産をカバーすることで通年出荷を実現しています。

収穫時期によって、れんこんの味わいは大きく変わります。特に、生長が止まる前に収穫された「新れんこん」と、生長停止後に田んぼの中で寝かせたれんこんでは、味や食感に顕著な違いが見られます。

新れんこんは、水分が多くみずみずしいのが特徴です。色白で透明感があり、シャキシャキとした歯ざわりが良く、薄い輪切りにしてサラダや酢の物にすると非常においしいです。

寝かせたれんこんは甘みが増し、粘りが強くなります。糸を引くこともあり、食べ応えがあります。このため、一口大に切って煮物や輪切りにして天ぷらなど、長く火を通す料理に向いています。

旬のれんこんを選ぶ際には、これらの特徴を活かして、料理に合わせた選び方をすると良いでしょう。

旬における栄養価の変化と健康への影響

れんこんの旬における栄養価の変化と健康への影響について、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の可食部100gあたりのデータをもとに解説します。

れんこんは水分が約81.5%と高く、低カロリー(66kcal/100g)でありながら栄養豊富な食材です。食物繊維の量は2.0gで、うち不溶性は1.8gです。不溶性食物繊維は便通を良くし、腸内環境の改善に役立つ効果があります。

無機質ではカリウムが440mgと豊富で、これは体内の水分バランスや血圧の調整に有用です。また、カルシウム20mg、マグネシウム16mg、リン74mgといったミネラルも含まれており、骨や歯の健康維持に寄与します。

ビタミン類ではビタミンCが48mgと豊富で、免疫力の向上や抗酸化作用に役立ちます。

旬のれんこんは、これらの栄養素が最も豊富に含まれており、新鮮な状態で摂取することで、その健康効果を最大限に享受できます。

れんこんの選び方 新鮮さの見分け方

れんこんを選ぶ際には、その新鮮さが味わいと食感に大きく影響します。スーパーで見かけるれんこんの中から、最も新鮮で質の高いものを選ぶためのポイントを把握することは、れんこん料理を一層おいしくするために重要です。
ここでは、れんこんの新鮮さを見分けるための具体的な方法を紹介します。

スーパーでの選び方のポイント

れんこんをスーパーで選ぶ際には、特に切り口の色と中心の穴の形に注目することが重要です。これらのポイントを押さえることで、新鮮なれんこんを見分けることができます。

れんこんの鮮度は、切り口の色によって判断できます。新鮮なれんこんの切り口は白く、ツヤがあります。時間が経過すると切り口は茶色っぽく変色し、カサカサになります。
また、れんこんの中心部分にある穴の形も鮮度を判断するうえで重要な指標です。時間が経つと穴の形が崩れるため、形が整っているものを選ぶことが望ましいです。

カットされていないれんこんを選ぶときは、表面の色が黄みがかった色でムラがなく、傷もないものを選びましょう。切り口と同じく、茶色っぽく変色しているものは品質が良くない可能性があります。

次回スーパーなどでれんこんを選ぶ際には、これらのポイントを参考にしてみてください。

れんこんの保存方法 長持ちさせるテクニック

れんこんを新鮮な状態で保つためには、適切な保存方法が必要です。ここでは、れんこんを長持ちさせるためのポイントを紹介します。

れんこんの状態別保存ポイント

れんこんを家庭で保存する際には、新鮮さを保つためのいくつかのポイントがあります。これらのポイントを押さえることで、れんこんを長持ちさせ、いつでもおいしくいただける状態に保つことができます。

切ったれんこんの保存方法

切ったれんこんは空気に触れるとすぐに酸化し、変色するため、切り口をラップでしっかりと包みます。その後、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのが良いでしょう。

れんこんを丸ごと保存する方法

1節丸ごとのれんこんは、切ったものよりも長持ちします。湿らせた新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷暗所(10℃以下の場所)または冷蔵庫で保存するのが適しています。この方法であれば、だいたい4~5日程度保存可能です。

泥付きれんこんの保存

泥付きのれんこんは、泥が付いたままの状態で保存すると洗ったものよりも日持ちします。泥はれんこんを乾燥から守り、鮮度を保つ役割を果たします。泥付きの状態で保存する場合も、湿らせた新聞紙で包んでポリ袋に入れる方法がおすすめです。1週間程度保存できます。

皮をむいたれんこんの保存

皮をむいたれんこんは、全体が水に浸かるように密閉容器で保存します。これにより、れんこんが変色するのを防ぐことができます。ただし、ビタミンCが水に溶け出してしまうので、翌日中には食べきるようにしましょう。

冷凍保存のポイント

れんこんを冷凍保存する場合は、皮をむいてお好みの厚さに切り、酢水につけてあく抜きした後、固ゆでして水分を拭き取ります。その後、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍であれば1カ月程度保存できます。

食感を損ないたくない場合は、茹でてから冷凍すると食感を保てます。ただし、保存可能期間は少し短くなります。

新れんこんの注意点

6月から9月上旬にかけての新れんこんは、まだ生育中の状態で掘り上げられるため、日持ちがしません。新れんこんを購入した場合は早めに食べるようにしましょう。

れんこんを使った郷土料理

日本各地には、地域ごとの特色を活かしたれんこんを使った郷土料理が数多く存在します。れんこんはその独特の食感と栄養価の高さから、多様な料理に活用されてきました。ここでは、茨城県の「れんこんのきんぴら」や「小倉れんこん」、宮崎県の「れんこんのすり流し汁(ごりごり汁)」、そして熊本県の「からしれんこん」といった、地域ごとに異なるれんこんの料理法を紹介します。

れんこんのきんぴら

茨城県の郷土料理「れんこんのきんぴら」は、国内第2位の湖面積を誇る霞ヶ浦の湖畔で盛んに栽培されるれんこんを使用した料理です。

茨城県では、れんこんのきんぴらは地元で多くつくられる野菜を使い、昔から日常的につくる常備食として好まれています。茨城県の特徴はごぼう、人参、大根、れんこんなどの野菜を千切りではなく、太めに切ることです。この太めに切るスタイルが、シャキシャキとした食感を生み出し、茨城県独自の「きんぴら」の特色を形成しています。

小倉れんこん

「小倉れんこん」の特徴は、れんこんと小豆を一緒に煮込むことです。茨城県では、小豆とれんこんを紫峰色(しほういろ)になるまで煮込みます。紫峰色とは、茨城県の名峰・筑波山の別名から来ており、朝夕に陽を受けて山肌が赤く染まる様子を表しています。
この料理は「先が見通せる」とされる縁起物として、また小豆の赤い色が邪気を払うとされることから、正月や慶事の席に欠かせない料理とされています。

調理方法としては、皮をむいたれんこんを5cmくらいの輪切りにし、その穴に小豆を詰めて鍋に入れます。れんこんがかぶるくらいの水を入れ、弱火で2時間から3時間煮込みます。れんこんと小豆が柔らかくなったら、砂糖と塩で味付けをし、ゆっくり冷ましてから食べます。

れんこんのすり流し汁(ごりごり汁)

宮崎県の郷土料理である「れんこんのすり流し汁(ごりごり汁)」は、地元で愛される伝統的な料理です。この料理の起源は、第七代高鍋藩主秋月種成が財政立て直しのために大和産のれんこんを取り寄せ、地元民に植栽を推奨したことに始まります。地元では「水神さんの糸引きれんこん」として親しまれ、その独特の歯ごたえとねばりが特徴です。

すり流し汁は、れんこんをすりおろし、だし汁と味噌で味付けしたものです。冬の寒さにも負けない滋養の食事として、地域で大切に受け継がれています。れんこん田の泥が深いため、収穫は重労働であり、主に男性が冬の寒い泥の中でれんこんを掘り出します。この作業は冬の風物詩となっており、れんこんを収穫できるのは水沼神社の限られた地区の氏子に限られています。

作り方は、れんこんを金たわしで洗い、油揚げは油抜きをして細めの短冊に切ります。細ねぎは小口切りにしておき、鍋にアジ煮干しのだし汁を入れて火にかけ、油揚げを加えた後、鬼おろしでれんこんをすりおろしながら入れます。ひと煮したら、溶いた味噌を加え、煮立つ直前に火を止めます。器に盛り、青ネギと柚子の皮を添えて完成です。

以前は冬に家庭で作られることが多かったこの料理ですが、現在は家庭で作る機会が減っています。しかし、学校の給食や郷土料理店のメニューに取り入れられることもあり、地域の食文化としての価値を保っています。

からしれんこん

熊本県の郷土料理「からしれんこん」は細川藩と深い関係があり、1632年に肥後細川家初代藩主・忠利公のために考案されたとされています。忠利公が病弱だったため、栄養価の高い食事が求められていました。熊本県は沼地が多く、れんこんが豊富に育っていたため、これを利用することになりました。

しかし、忠利公はれんこんを「泥の中で育った不浄なもの」として敬遠していました。そこで、れんこんの穴に味噌と和からしを混ぜたものを詰め、小麦粉、空豆粉、卵の黄身で衣をつけて油で揚げる方法が考案されました。この辛味が忠利公の食欲を刺激し、健康を取り戻す手助けとなったと伝えられています。また、輪切りにしたれんこんの外観が細川家の家紋「九曜」に似ていることも、この料理が細川家に受け入れられた理由の一つです。

からしれんこんは、普段の食事の惣菜や酒のつまみとして、また正月にはおせち料理の一品としても楽しまれています。食べ方は、九曜紋が見えるように5mmから10mmの厚さに切り、そのまま食べるのが基本です。好みで醤油やマヨネーズをつける家庭もあります。最近では、コロッケやサンドイッチ、ハンバーガーなどにアレンジして楽しむ工夫も見られます。

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